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環境情報学部・2018年

環境情報2018(添削まとめ)いろは塾(夏期講習)2019

はじめに

いろは塾(夏期講習)9日目!環境情報2018年度です。試験時に多くの受験生が悩んだ「物語」の問題です。

軽く大事な部分のヒントを出したので、その部分の点数は結構良かったです。

得点分布

SFC環境情報学部2018年度小論文添削結果表

いろは塾の過去問添削ではいつもこの表を作っています。みなさまの順位表です。「順位」に関しては、「今回の参加者データ」から計算しているのでそこまで参考になるものではないですが。ただ概ねの傾向はわかります。この問題の場合は、

諸数値
平均   : 96.9
標準偏差 : 18.8
#     : 8

上でも述べたように演習の前に10分ほどミニ解説をしました。そのため、その部分の点数がよくなり、ばらつきが減った感じです。事前に説明しなかった部分は全滅でした笑。まぁ、この問題の場合はしかたない。また、環境2019年度の問題を見ていると、どうやらその部分は芳しくなかったのかな、と推測される出題方式に変わっていますしそんなものでしょう。

基本を守る

あなたが選んだ資料に記されている短い文を必ず全て含めてください。その短い文に必ず下線を引いてください。
慶應義塾大学環境情報学部2018年度小論文 問題2より抜粋
こういう基礎的な条件を守れない人が非常にたくさんいます。今回は、8人中2人がそれを守れませんでした。もちろん採点基準にそれが含まれているかどうかはわかりません。けれども、設問に記載されている以上、それを遵守すべきです。もし採点基準に含まれていたら、それだけで他の人よりも何点か差がついているかもしれませんよ。

夢オチは禁止!

「○○という夢を見ました。」は避けましょう。確かに、そう書けば、どの絵でもうまくストーリーの「つじつま」は合います。夢の中では何でもできますからね。
夢でもし逢えたら素敵なことね
あなたに会えるまで眠り続けたい。
鈴木雅之「夢で逢えたら」
けれども、そういうオチにしてしまうと、その人の発想力の貧困さを露呈することにもなります。困った時には、とりあえず四次元ポケットがあればいいよ、と考えるタイプです。選択肢が絞りきれないんです。だから、この手の発想系の問題では、夢オチは避けましょう。

他人に「物語」で伝える

説明をするときには「例」を使うとうまく伝わりますよね。さらに、物語的な例を出すと、よりうまく伝わる場合があります。脳内でも、物語を処理する方法と論理を処理する方法は異なるかもしれません。

他人に伝える方法としての「物語」をしっかりと意識できるようになりましょう。

起承転結には頼らない

物語をうまく伝える枠組みはいくつも提唱されています。日本ではよく「起承転結」が言われます。確かに、ある程度の枠組みとしては有効です。けれども、起承転結はグローバルには一般的な方法ではありません。例えば、世界中の神話を分析して、そのストーリー構成を分析した枠組みがあります。その枠組みにしたがって、ある映画監督が世界的名作をヒットさせた話は有名です。今日は、雑談的に、その構成方法について触れました。(ねぇ、まだ起承転結で消耗しているの?)

得点が低い人の傾向

得点が低い人は、

1:設問を理解できていない。
2:資料文を理解できていない
3:適性が必要な部分が書けていない

という特徴があります。この3の特徴は、「1」に含まれるのですが、一部の「適性」に関する設問は人によって正答率がばらけます…単に設問を見るだけでなく、適性を意識した対策をすることで、こうした問題は少しずつ解きやすくなっていきます。

分布グラフ

SFC環境情報学部2018年度小論文添削結果グラフ集団としては中央にぎゅっと集まったイメージですね。ある採点基準をみんなクリアできていなかったので一律低くなっています。本当だったら、もう少し上位集団がいてもいいのですが。とにかく、SFC小論文で大事なことは以下の2つです。

気をつけるべきこと
1:設問を読む
2:適性を確認する

をしっかり対処しましょう。

それでは!

2018年度環境情報学部小論文 解答速報

先に雑感。2014年度環境情報学部「本の編集」の類問であり、あの問題を理解していると意外に解きやすかったはず。2014年度では「6個の文章を組み合わせて本を作成し」目的を達成させようとしているが、「タイトルや絵や文を活用して物語を作成し」問題3の目的を達成する構成となっており設問を通じて受験生にやらせている内容はほとんど同じ。

2014年度環境情報学部「本の編集」では本全体の目的にあたるものを書くようには明示されていなかったが、今回の問題では問題3として明示されている分解きやすい(この部分が問題発見ですね。)。その代わり、前回はタイトルを工夫することで、想像力や表現力を発揮させていたものが、この問題では「タイトル・絵・文から想像し、それを表現する」という形に変えられている。

判定基準

自分で物語を作成しているので、自己採点はしづらいかもしれません(たぶん高めに算出されます。)。自分が「関係している」と思っても、読み手はそうはとれないことも多いので。
問題発見
解決
能力
適性
記号チェック項目素点
問題2問題
解決
表現力A「あなた」が絵から読み取った世界観を起点として想像された物語の登場人物や舞台が明示されているか。(  )点
/2点
発想力B「絵」に描かれている事物を取り出し、その事物に絵から読み取れる以上の設定や意味を付加しているか。(ものごとを想像する力を発揮しているか。)(  )点
/2点
実行力C物語全体を通して、各イベントが無理なく関連づけられているか。(ファンタジーであっても構わないが、ファンタジーとしての納得性は必要)(  )点
/2点
構成力D物語の内容は「絵」のタイトルと矛盾した内容となっていないか。(  )点
/2点
構成力E物語の中に「絵」を想起させる描写があり、その描写に対して違和感なく「短い文」が配置されているか。(  )点
/2点
構成力F物語内に2個以上の場面が明確に関連づけられて配置され、最終場面に問題3で伝えたいメッセージを想起させる内容が配置されているか。(  )点
/2点
問題3問題
発見
発想力G問題3の内容は、問題1で選んだ資料から、想像もつかないようなメッセージとなっているか。(これまでにないビジョンやコンセプトを創り出しているか。)(  )点
/2点
表現力H問題2の創作物語を通じて、問題3のメッセージが思い起こされるか。(  )点
/2点
論理力I問題3「あなたが読み手に最も強く伝えたいメッセージ」が抽象、問題2がその具体的物語として適切に書かれているか。(  )点
/2点
思考力J「読み手」を具体的に設定している様子が伺える答案となっているか。(  )点
/2点
補足 B、G
この問題では「発想力」として、2つの内容がわざわざ提示されています。いずれも設問文の第1パラグラフにて「これまでにないビジョンやコンセプトを創り出す力」「ものごとを想像する力」という2つです。この2つは必ず採点基準にいれるべきです。Bにおいて「これまでにないビジョンやコンセプトを創り出す力」を採点しようとするとかなり主観が入ってしまう(どこまでが「これまでにない」なのかを判定するのが難しい)ので、Gにおいて「これまでにないビジョンやコンセプトを創り出す力」を「スタートで選んだ資料」と「問題3」の関係のなさ、を採点基準としました。
補足 C
設問文中「読者が納得する筋書きに仕立ててください」という部分。詩のような飛躍ではなく、あくまでストーリーとしては自然であることが求められています。こういうものを考えつくのは「実行力」の表れです。
補足 D,E,F
この問題では関連づけるものが多いです。「タイトル」「短い文」「絵」と「読み手に最も強く伝えたいメッセージ」の4つを「物語」として関連づける必要があります。こうした構成や構想を行えるのも実行力の表れです。
補足 A,H
「イメージを他人に的確に伝える能力」に関しては、Aのように詳細に登場人物や舞台を描写できることや、Hのようにメッセージが読み取れるように物語を作成することから問うことができます。「詳細に」の判断基準は難しいですが、採点時は「いくつかの答案の横比較」でだいたいの基準が定まるはずです。
補足 J
「問題3で「読者層の想定」をきちんとしていることが文章から読み取れるか。」というチェック項目を追加しました。これに従い、チェックしづらかったチェック項目Aを廃番。

設問文を読んでいると「読み手に最も強く伝えたいメッセージは何ですか。」という設問となっているため、「読み手」という他者に着目させる文章表現となっており、問題発見力(価値観の設定:立場)があれば「読み手の想定」を行うことに無理はないため、「読み手を想定していること」と「問題発見力(のための適性)」はそれなりに相関があると判断し、チェックしやすいこちらをチェック項目に追加。(これを追加すると「想定読者に合った物語表現」というチェック項目もありうることになるんですが、一応今回はそこまでは追加しないことにします。)

換算表

換算表は、総合政策と同じです。念のため、こちらにも書いておきます。
素点得点
00
111
222
333
444
555
666
777
888
9100
10111
11122
12133
13144
14155
15166
16177
17188
18200

終わりに

このチェックシートはまだ採点に用いたことがないため、少し難しめに作成されている可能性もあります。(他の年度の過去問ならば、演習の答案を用いてレベルの調整が可能です。)だから、この点数はあくまで参考程度にご利用ください。この得点は、本番試験の得点を模倣するためのものではなく、本番試験の問題から推測される適性や能力を問うためのポイントを幅広く抑えているかどうかを確認するための得点です。

もしよろしければ採点した結果を、ツイッターのDMやメール、コメント欄にご投稿いただけるとうれしいです。それらのデータを用いて、順位や偏差値などさらなる参考情報がわかるので。

それでは、みなさま、SFC入試お疲れ様でした。まだ、他の私学や国公立の入試が残っている人は、あと一息頑張ってくださいね。

2018年度環境「Q:問題2の中に『問題発見・解決』を書かないとダメですか?」

Q:2018年度環境情報の答案は問題発見・解決を書かなければならないか

SFCのアドミッションポリシーは「問題発見・解決」ですが、今回の環境情報の小論文では、問題2に「問題発見・解決」について書かなければならないのですか。
たぶん5回ぐらい同じようなご質問をいただきました。

A:不要です。

・不要です。
・問題3が問題発見、問題2が問題解決という構成になっています。
・2014年度「本の編集」の類題です。

資料4からは明確に問題発見・解決の要素は読み取れない。

今回の問題は、資料4という大きなヒントがあります。そして、資料4から、問題発見・解決的要素を読み取るのにはかなり無理があります。もちろん、問題2は物語なので「問題発見・解決」の枠組みに沿っていること自体は、問題はないとは思います。しかし、資料4から明確に問題発見・解決の要素を読み取れない以上、問題発見・解決について書かなければ、失点するというものではないはずです。

(追記)誤解が生じる可能性もあるので、少し表現を訂正します。「資料4から、問題発見→解決のプロセスを明確に読み取ることができない」ということをさしています。(この文章から「多元的」が読み取れるとは思ってないけど。)ついでにいえば、「その際、資料4に含まれている物語を参考にしてかまいません。」と書いてあるのだから、資料4に構成を合わせて書かなければいけない、というのもおかしいと思っています。「これぐらいレベルの物語を書いてね」という例示以上は読み取れないと思います。

問題3が問題発見、問題2が問題解決という構成

今回の問題の場合、問題3に「読み手に最も強く伝えたいメッセージ」という問題発見があります。これはいわゆる「目的」ですよね。この物語を伝えようとする目的です。目的を定めること=問題設定です。そして、その目的を「効果的に伝える」という解決策が問題2です。解決策に関しては、
 ・タイトル、短い文、絵が表す世界観を大切にする
 ・短い文を必ず含める
 ・短い文に下線を引く
 ・読者が納得する筋書きに仕立てる
という条件があります。これにしたがって、「目的を達成するように、問題の解決を行う」のが今回の小論文の特徴です。

これは現実にありうる場面としては、次のような場面を想像するとわかりやすいと思います。幼稚園に連れて行かれて、絵を1枚渡されました。そして、幼稚園の先生から「子供達に向けて、この絵を使って、物語形式で何かお話をしてください。もちろん、子供達に向けて役に立つメッセージを含めてくださいね。」とお願いされました。

こういう仮想的な場面を想定すると、この問題1〜3が「問題発見・解決」のありうる場面だというのがイメージつくかもしれません。

2018年度「物語の作成」は、2014年度「本の編集」の類題です。

まだ赤本の範囲内なので、解いたことがある方も多いと思いますが、今回の問題は2014年度の「本の編集」とほとんど構成が同じです。

2014年度の「本の構成」は「あたえられた文章を取捨選択し、組み合わせ」、「前書きを作成して、」「本を完成」させます。2018年度の「物語の作成」は「絵・タイトル・文を選択し、あるいは、自分で設定して、」、「メッセージを決定し」「物語全体を作成」します。
問題2014年度
環境情報
2018年度
環境情報
編集要素与えられた資料の組み合わせ絵・タイトル・文を物語に組み込む
目的設定まえがきを書く伝えたいメッセージを示す
全体作成まえがき+選んだ資料で本が完成問題2で物語を完成
もちろん、2018年度環境情報では「これまでにないビジョンやコンセプトを創り出す力」「ものごとを想像する力」「自分が持っているイメージを他人に的確に伝える能力」というポイントも示されているので、100%同じではない(少なくとも、2014年度では「これまでにない…を創り出す力」は問われてないように思える)けれども、相当範囲で問題の形式は重複しています。

終わりに:問題発見・解決に合わせた形式は減点になるかも…。

資料4を読んだら「あー、こうすればよかったのに…」と思いませんでしたか?あるいは「こうなってればよかったのに…」と。少なくとも、資料4はバッドエンドとは言えないものの、ハッピーエンドとはいえません。

物語や逸話はしばしば「物語の主人公に失敗させる」ことにより、読者に「あー、主人公はこうすればよかったのに」と思い起こさせる構造になっています。あるいは、良い人と悪い人が出てきて、悪い人は失敗し、良い人は成功する、という構造もよくあります。こうした場合、「メッセージは明確」になります。

一方で、「問題発見→問題解決」の構造を全て書いてしまうと、「いわゆるヒーローもの」になってしまい、メッセージ性が薄れます。確かに、キリトは幾度かピンチに陥りますが、あのアニメを見て頭に残るのって、「ピンチはこうのりきろうぜ」ではなく、「キリトかなーやっぱりww自分は思わないんだけど周りにキリトに似てるってよく言われるwwwこないだDQNに絡まれた時も気が付いたら意識無くて周りに人が血だらけで倒れてたしなwwwちなみに彼女もアスナに似てる(聞いてないw) 」の方ですよね。「解決」を中心にすると、「メッセージ性がぼやける」のは確かです。

今回の場合、「自分が持っているイメージを他人に的確に伝える能力」が問われていることや、資料4を加味すると単純に「問題発見→解決」する答案はメッセージ性に劣るかもしれません。また、最近、SFCの先生は形式的に問題発見・解決に合わせた答案が増えていることを危惧されているようにも見受けられますので、こうしたところで点差をつける意図があるのかもしれません。もちろん「問題発見→解決」という枠組みで書いてはダメ、という単純なものではなく、本質を理解せずに単純なフォーマットとして「問題発見→解決」を使ってしまうとメッセージ性が薄まる可能性が高い。本質を理解していれば、問題発見→解決の枠組みを用いても、メッセージ性の高い答案を作ることは可能。だから、メッセージ性の有無という「表現力」に関するチェックを入れることにより、単にフォーマットに合わせて書いている人たちをふるいにかける、という意図があるのかもしれないと思っています。

だから、今回の場合は、「問題発見→解決」の枠組み、特に「解決しきる」ことに重点を置かない方がいいかもしれません。

2018環境「これまでにないビジョンやコンセプトを創り出す力」の採点方法について

みなさま、入試お疲れ様でした。いくつも答案をお送りいただいているのですが、1番多い質問は
「これまでにないビジョンやコンセプト」をメッセージとして組み込めていないけど大丈夫ですか?
という質問でした。2018年度環境情報解答速報でも記載しているのですが、とりだして細かく解説します。

メッセージの中身は比較的なんでもよい

今回の問題の場合、どのような文章を書けばよいか、ということは資料4で例示されています。さて、この資料を読んだときに、どんな感想をもったでしょうか。通常、

・もう少しアリスのいうことを早めに聞いておけばよかったのに
・毛虫やアリスの言葉に耳を傾けたらよかったのに

というような感想を持つでしょう(数人に聞きましたが、大ブレはしてませんでした。)抽象すると「子供の言葉も真摯に受け止めよう」「大人の常識で判断するな」ぐらいの内容になり、メッセージとしてそこまで特殊なことを書いているわけではありません。これが例として出ている以上、内容のみで「これまでにないビジョンやコンセプト」を作れているかどうかを判断するのは望ましくないと思います。したがって、メッセージの内容の新規性ではない別の方法を用いて「これまでにないビジョンやコンセプトを創り出す力があるかどうか」を計測するしかありません。

絵・短い文・タイトルとメッセージの間の「関連性のなさ」から「創造力」を計測できる

それに関して、採点者の目線をある程度揃えた上で、採点できる基準が、

問題3の内容は、問題1で選んだ資料から、想像もつかないようなメッセージとなっているか。(これまでにないビジョンやコンセプトを創り出しているか。)

です。

例えば、資料4の場合、この「オスカーとアルフォンス」の絵と短い文とタイトルを見て、「子供の言葉も真摯に受け止めよう」「大人の常識で判断するな」というようなメッセージはなかなか思い浮かばないでしょう。逆に、この絵に関して、「小さな生き物を大切にしよう」「生命を大切にしよう」というメッセージであれば、容易に思いつくでしょう。

したがって、

「選んだ絵からダイレクトに想像できるメッセージ」であれば素点0。
「選んだ絵からダイレクトに想像できないメッセージ」であれば素点1。

というように採点基準を作れば、各採点者が目線を揃えて、「これまでにないビジョンやコンセプトを創り出しているか。」という判断ができるわけです。「既存のもの=絵や短い文」から「これまでにないビジョンやコンセプト=メッセージ」を実際に創り出しているからです。

もちろん、この評価も先生により、幅や相違が生まれる余地があります。しかし、これらもある程度は統制できます。例えば、採点時に各先生には素点の合計だけでなく、各チェック項目もデータとして登録するようにしておけば、平均値を比較することで「○○先生、他の先生と比べて採点基準がきびしいんじゃないですか?」と注意したり、予備の先生が確認に入り、トリプルチェックすることも可能です。このようにすれば、少なくとも「教授がフィーリングで読んで、小論文を判断している」自体は防げます。