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参考書と読書

SFC小論文に向けて読みたい石黒圭さんの本を9冊ご紹介します。

2014年8月8日に書いた記事を大幅に加筆修正しました。

Yahoo知恵袋などを見ていると「SFCに合格するために読むべき本は?」という質問を時々みます。SFC小論文は、SFCが好みそうなテーマに関する知識を詰め込み、それを披露すれば高得点になる、といった試験ではありません。だから、「読書」により高得点を目指すのには限界があります。ある意味、「登る山を間違えている状態」ですから、目的地に到着するはずがありません。

いろは塾で教えていて、皆様がなかなかに苦労するのが「読解力の壁」です。読解力は「身体知」の一種です。よく講義で例に出すのですが、

「しかし」という接続詞の意味や役割を説明するのは難しくないし一瞬です。だけど、あらゆる文章で「しかし」などの逆接の接続詞に「常に」適切に気づくにはそれなりの訓練が必要

ということです。本や参考書は、所詮知識しか与えてくれません。しかし、重要なのは知識を使えるようにすることです。

とはいえ、一方で、このブログによせられる答案を見ていると、「こんな本を読んでいたら、もっと楽に理解できるだろうな」という本がたくさんあります。今回は、

1:読解力をあげることを主眼とする
2:小論文にいい影響を与える
3:現代文の成績まであがる

という石黒圭さんの本をご紹介したいと思います。

文章は接続詞で決まる


この本は、とにかくよい本です。接続詞に視点をあてながら、豊富な実例を元にその使い方などを紹介して行きます。割と網羅的に接続詞が紹介されているのもこの本の特徴です。小論文を書く為には必須。

「予測」で読解に強くなる!

この本は、ちょっとしたジョーカーみたいなものです。少し長めの例文を1文毎に先を予測しながら読む、という作業を丁寧にやっていきます。だから、この本に合わせて文章を読んで行くと、ある他人(石黒圭)がどのように文章を読んでいるのかが分かります。反則みたいな本ですが、本に合わせて丁寧に読んでいくと、現代文の成績があがると思います。「ちくまプリマー新書」という比較的初心者向けの新書であるため、非常に読みやすい本です。

「読む」技術~速読・精読・味読の力をつける~

「読む」という行為に焦点をあてた本です。同じく実例が豊富なため、自分がいかに単調な読み方しかしていないかがよくわかります。割と文章を早く読む為にも役立ちます。

この3冊はぜひ読んでみてくださいね。

うまい!と言わせる文章の裏ワザ

文末はどうしよう。どうすれば読みやすい?などのような「超基本」に迷ったら読む本です。こういった類いの本は、通常あまりしっかりと中身が練られておらずハウツーものになりがちなのですが、この本は筆者の石黒さんが非常に緻密な方なので、読みやすくも内容が深いという希有な本です。

よくわかる文章表現の技術シリーズ


内容は、かなり高度です。前半3冊は比較的容易、後半2冊は難関。但し、力がつくことは保証します。上で紹介した本を読んで気に入ったら、ぜひ手を出してみてください。一方で、受験小論文で「ここまでしなくても」という思いはあります。だから、石黒圭さんの本が気に入った人向けですね。実際のところ、「文章自体をしっかりと考えて書きたい」人には向いていますが、このあたりのシリーズになると、万人向けとは言い難いです。上であげた新書などに挑戦してから、それでも学びを深めたい人はこういった本に挑戦してみてください。



論理的に書く・読むという作業は、しばしば「テクニック」に陥りがちになります。「文章は短い方がいい」等を盲目的に信じがちになります。そうした頭に喝を入れてくれるのがこれらの本です。ぜひ読んでみてくださいね。

SFC小論文と読書

SFC小論文対策と読書についてはあたかも「不可分」のように語られていますが、しょうろんではSFC小論文と読書の関係について、次のように考えています。

念頭に置きたい考え方
SFC小論文は知識の確認テストではない(適性テストである)

だから、特定の知識をきれいに整理した本を、単に暗記するために読む必要はありません。続いて「読むべきもの」を優先順位の順に並べました。

SFC小論文対策として「読むべきもの」
1:現代文のうち評論文
2:SFC小論文の過去問(資料文・設問)
3:(必要があれば)その他の書籍・雑誌等

つまりは、本質的にはSFC小論文対策用の特別な読書は不要と考えています。これらの資料について次にあげる「目的」を意識しながら、読むべきです。

SFC小論文のための読書目的
A:「論理的な文章」を読み書きする方法を身につける
B:「SFCの理念」を学ぶ
C:時間内に資料文や問題文を読み、小論文を解き終えるために必要な「背景知識」を身につける

最後のCだけが少し長いですね。単純にいうと「背景知識を身につけるため」なのですが、小論文を時間内に解き終えることさえできれば、「C」は全く不要になります。

現代文のうち評論文は目的AとCのために読む

「論理的に読む」ことは、文章を読む為に不可欠です。つまり、できるだけ筆者の意図に近く、誤解を減らしながら文章を読むためには、「論理的に読む」必要があります。それができなければ、仮に読書をしても大方の読書は無意味になります。

「論理的に読み、そして実際に論理的に読めたかどうかを確認する」のが現代文、特に評論文の問題です。だから、まずは現代文をしっかり解き、論理的に読む練習をすることが重要となります。経験上、しっかりと資料文や設問文を読めている人の方が少ないです。しっかり読む練習をしてください。

また現代文の参考書もしばしば「幅広いテーマをカバーするように」作られています。だから、現代文の文章をしっかり読む事でかなりの範囲の知識を手にすることができます。つまり、目的Cが達成できるわけです。

SFC小論文の過去問(資料文・設問)は目的BとCのために読む

過去問の資料文を読むことには大きく2つの意味があります。

過去問の資料文を読む意味
・SFCにおける「問題発見・解決」の意味を理解する(目的B)。
・SFC小論文で問われやすい分野の知識を入手し、資料文を速く読めるようにする(目的C)。

一つ目は、当ブログで何度も強調していることです。SFC小論文は問題発見・解決を中心としたSFCへの適性を確認する試験です。その証拠に、その資料文では何度も「問題発見・解決」について解説した資料が出題されています。だから、それらを読み、SFC小論文で問われる「問題発見・解決」についてしっかりと理解すべきです。

二つ目は、現代文の資料同様「知識を手に入れる目的」で読むことです。文章を読む速度は、「知っている知識」に依存します。つまり、知っている知識が多ければ多いほど速く読むことができます。だから、「知っている知識」が多ければ資料文は速く読めます。だから、SFCで今後も出題されるだろう関連分野に関する知識を知っておくことに意味はあります。資料文が速く読めるからです。ここを誤解して「SFC関連分野に関する知識を書けば合格するから、SFC関連分野の知識を暗記しよう」と思う方がいらっしゃいます。ある固定の知識を知っているか、知らないかを基準にしてしまうと、どうしても合格する人の傾向は似通ってしまいます。だから、SFCのような学部で、「知識による選抜」は行われないと思います。けれども、SFC小論文はSFCが出題する以上、ある程度過去問の範囲と毎年の出題に関係があるのも確かです。だから、「速く資料文を読む」ために過去問の資料文をしっかり学習することには意味があります。

「その他の本を読む」というおまけ

上記2つをクリアし、時間内に小論文さえ書ければ、別にそれ以上新しい本を読む必要はありません。「知識確認テスト」ではないからです。但し、上の二つをしっかりやったけれども、資料文を読むのが遅く、点数が上がらない人は「その他の本」を読むことに意味があります。

その他の本を読む
・問題発見・解決に関する本を読み、SFCの「問題発見・解決」への理解を深める。
・幅広い範囲の知識をまとめた本を読み、資料文を速く読めるようにする。

これらは別に「本質」ではなく、言って見ればおまけです。もちろん「幅広い範囲の知識をまとめた本」などは、各著者により個性があり、いろいろいい本があります。けれども、あくまで文章を読む速度を速くすることが目的であり、十分な読書スピードさえ手に入れば、それ以上深入りする必要はありません。

しばしば「この本を勉強したら受かった」という体験談が氾濫するSFC小論文ですが、当ブログでは以上のように考えています。

補足

最近、ツイッターでこんな投稿をしました。 「読む」という行為はなれないとできません。しかも、「うまく指摘されないと自分が読めていないこと」にも気づけません。

いろは塾の夏期講習では「文章が読めてないですよね?」ということをひたすらお伝えし、体感していただきました。「SFC小論文対策に向けて本を読む」前に「読む力」を養ってほしいと思います。

「小論文を学ぶ」はSFC小論文に対して有効か。

2013年12月10日改訂:(思うところがあるので、過去に書いた内容に手を加えました。)
よくSFCの小論文攻略サイトに、「小論文を学ぶ」という本がオススメされています。私はこの本を手にいれ、少し読んで見ましたが、かなり難しいように思えます。しかし、この本を読むことがSFC小論文の攻略につながるのなら頑張って読もうと考えています。ぜひ、この本についてご意見をお聞かせください。
当ブログコメント欄より抜粋

知らない方もいらっしゃるかもしれません。この本ですね。

「慶應SFCダブル合格の講師が解説」している「小論文本」は読むべきか?

今日、書店にて 合格する小論文技術習得講義―慶應SFCダブル合格の講師が解説 (YELL books)という本を知りました。 この参考書は 慶応SFCの小論文に有効ですか?
当ブログコメント欄より引用

直接のご回答

・「有効か」と言えば、「小論文初心者にとってはそれなりに有効。」上級者にとっても有効かどうかは疑問が残る。

実は毛程にも気にかけていない本です

無駄に遠回りしないための「SFC小論文向け読書7つの心得」

夏休みが終わりに近づき、各予備校の夏期講習で「参考文献一覧」等をもらって途方に暮れている人も多いかもしれません。今回は、そんな人が有効に時間を活用するためのエントリーです。

1:「何のために読書をするのか」を意識する。

「SFC対策は読書だ!」と、いろんなところで言われて「確かにそうかも…」と、思っている方も多いかもしれません。けれども、ちょっと待ってください。本当にそうですか?何のために『読書』をするんですか?よく言われる成功論のひとつに「目的を持って物事に取り組む」というアドバイスがあります。

SFC小論文合格のための夏休み読書術

もうすぐ夏休みですね。夏休みには夏期講習やなんかで参考書リストをもらったりすると思います。また、何冊か読むぞ、と意気込んでいる人もいると思います。今回は、SFC小論文合格のための夏休み読書術を書いてみます。

読書でしか学べないこと1:大量の情報処理ができるようになること
SFC小論文は課題文が非常に長いです。そして、多岐にわたります。捨てる文章と捨てない文章をはっきりする必要があります。そのためには、文章をザッピングして大意を読みとる力が必要です。その力は、現代文で培うのは難しいため、SFC小論文用に学ぶ必要があります。新聞をザッピングするか、本をザッピングするかのどちらかが有効です。

本の中で、2~10頁程度の範囲を「要約せよ」と言われた場合、
 1.キーワード1つ
 2.キーセンテンス1つ
 3.3行要約(時間1分程度)
が、できるようになるとよいと思います。

日本の論点などの大型本を読むのであれば、このタイプの勉強法につかうのがいいと思います。書いてあることを網羅しようとしちゃだめです。

読書でしか学べないこと2:SFC的な考え方を学ぶこと
SFC小論文は、「SFCに合わせた思考法」をできるようになるとよいと思います。まず総合政策的アプローチ。このブログで書いている「総合政策的アプローチ」を学ぶ一番よい教材は「過去問」です。その次がこのブログでしょうか(宣伝)。その次はこのブログで書いている3冊がまずオススメです。

子どものための哲学対話
 SFCは、「常識にとらわれない思考」が必要になります。正確にいうと、「価値観を再設定する」ときにいったん自分の頭が自動的に処理している「常識」をうたがってみる必要がある。この「常識を疑う」ことを体感するのにいい本です。常識をうたがうというと「斜に構えた考え方」と理解する人がいます。そういうものじゃないんです。かんたんに読める本なのでオススメです。詳細はこちら

生物から見た世界 (岩波文庫)
 環境情報学部を受ける人にオススメです。本来であれば、アフォーダンス関連の本を勧めたいんですが、アフォーダンス関連の本でやさしい本がないんです。むずかしい本を読むよりは、過去問の方がよっぽどいいですし…。とすると、一番良いのはこの本です。直感的にものすごく分かりやすい。詳細はこちら

わたしが情報について語るなら (未来のおとなへ語る)
 同じく環境情報学部を受ける人にオススメです。「情報ってなんですか」をうまくまとめた本です。情報はコンピューターを指す言葉ではなく、もっとひろい概念で理解した方がいいんです。環境情報学部の入試はよく「情報」について問われます。情報は、深掘りしておいてよいテーマです。詳細はこちら

やってはいけないこと
読書はSFC小論文の勉強の中ではおまけでしかありません。知識を集めるのは重要ではありません。「これを読まないと合格しない」本は「過去問」だけです。上で紹介した3冊を消化するのにもそれなりに時間がかかります。手は広げ過ぎない方がいいと思います。

Q:「日本の論点」は読んだほうがいいですか。

Q:多くのサイトやブログで「日本の論点」を読むことを薦めています。読んだ方がいいでしょうか。
A:合格に不可欠な本だとは思いませんが、特にニュースを見ない人は読んだ方がいいです。
 SFC小論文は、「人文・社会に関する幅広い知識」「サイエンス・テクノロジーに関する幅広い知識」を求める試験だ、という意見が多い気がします。個人的には、これは「誤解」だと確信しています。
 幅広い知識を有する人がほしければ、「センター入試」「ICU形式の入試」「政経を試験科目に入れる」「課題図書指定入試(法政大学のある学部で採用してますね)」などを行った方がよほど試験の効率がいいはずです。「日本の論点」や「現代用語の基礎知識」を課題図書にして入試をやれば、「幅広い知識」を暗記した学生がたくさん集まります。でも、SFCはその形式の試験にはしません。SFCがほしいのは、幅広い知識を有する学生ではないからです。
 これに対する反論として、「過去問研究をすると、テーマ性のある幅広い範囲の資料文が出ている」というものがあります。SFCは「問題解決を中心理念として、問題解決の手法として既存の個別科学の知見を用いる」んだから、「個別科学の知見」が広範囲に広がるのは当然なのです。
(設問文より抜粋)最後の資料6は、あるものの探求を目的とする「認識科学」とあるべきものの探求を目的とする「設計科学」からなる新しい学術の体系を論じています。総合政策学はいうまでもなく設計科学で、その核心は価値を作り出し、合理的に実現することにあります。

(資料文6より抜粋)一方、設計は人間のためのものであるから、設計科学の対象は人工物システムである。人工物システムは人間の全体性を現しており、領域に細分化された認識科学とは異なって分野を横断する統合を強く志向する。すなわち、認識科学を縦糸とすれば、設計科学はそれらを結びつける横糸である。
総合政策学部2011より抜粋
と、資料文でも述べられている通り、「幅広い知識」という「縦糸」を結びつける「横糸」としての「設計科学」がSFCの理念です。そんな学部で「横糸」を持つ人材を集めようとするかどうか、少し考えれば分かることです。「総合政策学」を反映した縦糸である「総合政策的アプローチ」のほうが単に横糸としての「知識」を身につける方法よりもSFC小論文には有効なのです。

ただし「知識」があると便利なこともたくさんあります。
 ・「知っている内容」は読む時間が速くなる。
 ・試験本番で「知っている内容」が出ると「あせり」が少なくなる。
 ・たまたま「知識」の内容が「総合政策的アプローチ」の形式になっていれば点数が高くなる。
 ・「アイデア」や「思いつき」は知っていることが多いほど思いつきやすい。
etcです。これはSFC小論文の本質ではないものの重要なことです。だから、「知識」を身につけることが「不要」だとまではいいませんが、「本質」だとはどうしてもいえません。
 もし「日本の論点」を読むのであれば、「総合政策的アプローチ」をつかって読んでみてください。すると、知識もSFC用に使える知識になります。