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構成とアイデア

Q 環境情報学部の学部長変更は小論文の内容に影響ありそうですか?

Q 学部長が変わったことが、SFC小論文に影響しそうですか?

いろぱ姉、パネェ。
ところで、学部長が変わる事について、小論文の傾向が変わると思いますか?
ツイッターのDMより(一部個人情報保護のため表現を変更)

A ほとんどない…とは思います!

個人情報保護のため表現を変更といいつつ、いろぱ姉、パネェと言いたいだけだったりする。ということで、こんにちは。いろは姉です。ぱなくないけど、いろぱ姉です。小論文に関する質問をいただきましたのでお答えします。

A:ほとんど影響はない、とは思います。
理由1 両学部同時に問題作成を行なっているから。
理由2 もう入試問題は作成し終わっているだろうから(濱田庸子教授の学部長就任は10/1から)。
理由3 総合政策学部の学部長交代(國領教授→河添教授)の際も影響はなさそうだったから。

この手の質問はほんとうに答えづらいですよね…。「実際に本当のことは誰にもわからない」が、「もし傾向が変わったように見えたら、ていのいい説明要因として学部長交代が理由としてつかわれるから」、不用意な発言をしたくないのです(笑)。とはいえ、2017年度総合政策学部のテーマが因果関係だったので、気にせず書いてしまいます。

理由1 両学部同時に問題作成を行なっている

SFCは他学部とは、異なる学部運営をしています。これは公式情報を確認した方が話が早いです。
なぜならば、SFCのキャンパス内でSFC に設置されている総合政策学部、環境情報学部ならびに大学院政策・メディア研究科には他の学部における「教授会」、「研究科委員会」に相当する機関として各々「教員会議」を置き、その下に学部運営の効率化を図るために「運営委員会」を設けている。これらは別々に開催するのではなく、2 学部 1 大学院に共通・関連する議題を審議し議決する機関として、「合同教員会議」及び「合同運営委員会」が設置され、これを中心に活動している。
2004年度 点検評価・報告書 総合政策学部・環境情報学部
と慶應義塾大学の公式ページに書かれています。この後の、2011年度 点検評価・報告書においても特に変更は書かれていなかったので、現在もこれと同じ運営であると推測されます(少なくとも、後述するIPO委員会や一般入試委員会は現在も継続中)。これをまとめると、

SFC内では単独の学部ではなく、2学部・1研究科合同で意思決定を行なっている

ということです。だから、1学部長交代の影響は他学部に比べて小さい、ということが推測されます。また、
 さらに、「合同教員会議」、「合同運営委員会」の下に SFC 内の会議体・委員会として、
・ IPO 委員会
・学部 AO 入試委員会
・一般入試委員会
(以上、3つは関連するもののみ抜粋)
が設置され活動している。
2004年度 点検評価・報告書 総合政策学部・環境情報学部 p49(一部、当ブログにて抜粋)
のように、SFCに関しては、一般入試委員会と学部AO入試委員会が別に設定されているが、一般入試委員会が学部毎に設定されているわけではありません。だから、小委員会レベルでも環境情報学部 学部長変更の影響が大きくなるような意思決定体制にはしていないことがわかります。

理由2 もう入試問題は作成し終わっているだろうから(濱田庸子教授の学部長就任は10/1から)。

入試問題をいつから作成しているかはわかりませんが、濱田学部長の学部長就任は2017年10月1日です(たとえば、おかしら日記を見ればわかります。)

「就任直後に入試問題の作成に大きく関与して、仮にその時点から方向転換する」という状況も考えられなくもないのですが、実質4ヶ月もない期間なので、大きな変更はできないでしょう。

因果関係の取り違えに注意

上のおかしら日記を見ればわかりますが、SFC心身ウェルネスセンター所長をなさっていました。だから、その情報から、ヘルスケア関連の知識を事前にしっかりと学習する人もいるかもしれません。そして、仮に本番試験でヘルスケア関連の問題が出題された場合には、「ほら、やっぱり学部長変更の影響があったんじゃないか」と主張する人は必ず出てきます。これは、因果関係の取り違えです。2017年度の総合政策学部の出題を思い出してみましょう。あの問題もヘルスケア関連の出題です。別に、学部長が変わろうが、変わるまいが、SFC小論文では、ヘルスケア関連の出題がなされる可能性は十分にあるんです。知識として、ヘルスケア関連の問題を知ることはいいことです。ただし、それが「学部長変更の影響であるかどうか」は、外部の人からはわかりません。外部の人から言えるのは、SFCの意思決定体制は、学部長変更の影響で全体の方針が急に大きく変わることを避け得る体制だ、ということぐらいです。(これだって、実際その委員会がどれほど公平に運営されているか外部からわからないですけれどもね。)

理由3 総合政策学部の学部長交代(國領教授→河添教授)の際も影響はなさそうだったから。

2013年度に國領教授から現在の河添健学部長に学部長の交代がありました。

2013年度入試は、みんな大好きD組の主張を補強せよ問題、2014年度入試は、教科書を作る問題ですので、河添先生のメインの活動エリアである数学系の出題はほとんどでていません。(ただし、当時の学部長村井先生が、SFC全体の傾向として数学力が弱くなっているから、入試でも数学力のある人が有利になるようにしていることをほのめかしてはいます。これも、理由1につながりますね。)2015年度〜2016年度は数的感覚を問う出題といっていいものにシフトはしていますが、仮に影響があったと仮定しても、前回の総合政策学部の場合は、それが反映されるのに2年かかった、ということになります。

終わりに:それよりも気をつけたいこと

SFC の入試制度は一般入試・AO 入試とも過去 12 年間において大きな社会的評価を得てきた。しかしながら、近年いくつかの特徴が顕著になってきている。一般入試に関しては、小論文の文章作成において、その構成や内容において均一化がみられるようになってきた。また AO 入試に関しては、出願者数の減少とその質の低下、それにともなう合格者数の減少が顕著になってきている。これらは予備校などの受験産業による、SFC の入試に対する傾向と対策が進んだ結果と考えられる。
2004年度 点検評価・報告書 総合政策学部・環境情報学部
この太字にもあるように、少なくともSFCでは

・受験産業における構成や内容の均一化を好ましく思っていない

のです。ここから類推するに、

・受験産業(あるいは受験生)が学部長の変更から想定する「構成や内容の均一化」はSFCからは好まれない

でしょう。

何度も言っているように、

SFC小論文は「適性試験」であり、「SFCに対する適性を意識しながら、その適性を有していること」を示す

ことが合格の近道です。

もちろん、その適性には「論理力」や「構成力」が含まれるので、既存の予備校の対策に全く意味がないとは言いません。けれども、既存の予備校の対策により、答案構成や内容が「均一化」されるべきならば、それは避けるべきなのです。私が、受験生の書く内容を情報分野に限定したり、決まったテーマで書くことを蛇蝎のように嫌うのは、こうした慶應義塾大学側からの公式見解があるからです。

学部長の交代があったとしても、ゆらぎない適性…それを見せられるような対策をしましょうね。

あと9日間、SFC小論文の構成短期練習法

あと9日間で、少しでも対策したい、という人がいると思います。そういう方々向けに、小論文の構成のしかたを中心とした練習をご紹介します。目指せ短期合格!!

毎年、このブログの内容を参考にして短期合格した人はけっこういますよ。そういう人はSFC小論文の位置付けを合格確率を5倍底上げする「SFC小論文 基礎の基礎」を読んで納得していただき、
1ページで把握する「総合政策的アプローチ」
からSFCの問題発見問題解決の内容を理解した方に多いようです。合わせて読んでみてくださいね。

1:設問から書くべき内容を読み取る練習をする

小論文は、「設問で尋ねられている内容」に対して答案を書くものです。「起承転結」「序破急」「序論本論結論」はそこまで重要ではありません。
 あなたがこれまでに、印象的な関わりを持った生活用品を一つ挙げ、それがどのようなものであったか、あなたがそれを通じてどのような体験をしたか、なぜそのような体験が得られたのかを、500字以内で説明してください。その体験は素晴らしいものであっても、がっかりしたものであってもかまいません。必要であれば解答欄右側の四角の中に図や絵を書いて説明の補助としてください。2012年環境情報学部 小論文 過去問
という設問であれば、「印象的な関わりを持った生活用品」「どれがどのようなものであったか」「それを通じてどのような体験をしたか」「なぜそのような体験が得られたか」を書きます。つまり、この4点が読み取れることが重要です。もう一つやってみましょう。
問題1
 資料1~5の内容を参考に、各資料に共通する論点、立場の異なる論点、あなたが重要と考える論点などを挙げつつ、グローバリゼーションが世界の政治・経済にもたらしている変化について論じてください。(800字)2012年総合政策学部小論文問題1
という設問ならば、「各資料に共通する論点」「立場の異なる論点」「あなたが重要と考える論点」などを挙げつつ、「グローバリゼーションが世界の政治・経済にもたらしている変化」を書けばいいわけです。この書くべきポイントを読み取ることは実は超重要です。

2:書くべき内容に対する適切な「質問」を設定する練習をする

上の例でいくと、環境情報学部の過去問の方は、質問の設定がかんたんですよね。「どんな生活用品がいいんだっけ?」とわりと考えやすいです。

二番目の総合政策学部の過去問は、「設問」の設定が難しいですが、「各資料で共通する点や重要な点はどこだろう?」「そして社会や経済にどういう影響を与えているのだろう?」などですね。

こういう質問をうまく立てることによってアイデアが出やすくなったりします。

3:書くべき内容を箇条書きにする



「印象的な関わりを持った生活用品」…コーヒーメーカー
「どれがどのようなものであったか」…コーヒー豆を入れたら、コーヒーができる。
「それを通じてどのような体験をしたか」…朝、おいしいコーヒーを飲めた。
「なぜそのような体験が得られたか」…できたて、引き立てだから。


「各資料に共通する論点」…各資料ともグローバリゼーションにより飛躍的に政治・経済が変化するとしている。
「立場の異なる論点」…その原因となるものは異なっている
「あなたが重要と考える論点」…原因となるものに着目すると未来の方向性がわかるから原因となるものが重要
「グローバリゼーションが世界の政治・経済にもたらしている変化」グローバリゼーションは、物や情報の流通拡大を通じて政治・経済をよりフラットな方向に変化させている。

かなり適当に書きましたが、一旦書くべき内容を箇条書きでまとめます。

本番試験で、この箇条書き部分を書く必要はありませんが、頭の中では作っておきます。この箇条書き部分は何が重要か、というと、時間がなければ、最悪この箇条書きの内容を全て書ききれば、設問に全て答えることになるため、合格率が一番高くなるから

4:箇条書きにした内容の肉付けを考える



「印象的な関わりを持った生活用品」…コーヒーメーカー
「どれがどのようなものであったか」…コーヒー豆を入れたら、コーヒーができる。←手順を説明
「それを通じてどのような体験をしたか」…朝、おいしいコーヒーを飲めた。←味の説明
「なぜそのような体験が得られたか」…できたて、引き立てだから。←コーヒーの特性

「肉付け」を全て細かく書くと、それは本番小論文を書くのと等しいですから、こんな感じでイメージをつけていきます。

肉付けの方法は、大きく3パターンしかありません。

「肉付け」3パターン
・箇条書きポイントの詳しい説明を書く
・箇条書きポイントの具体例を書く
・箇条書きポイントの理由を書く

この3つです。本番では、直感で選んでいいです。

5:時間内に書く

最後は、この内容を時間内に答案用紙に書くことを練習します。

ポイントは「上の1〜5を試験時間内で書き終わりまで済ませる練習をすること」です。肉付けを途中までやって、時間が足りなければ、箇条書き部分のみを書いてでも辻褄を合わせる練習をしてください。



型で書く練習はなぜ不要なのか。

「型」で書く練習は、この時期には不要です。なぜならば、小論文の答案は「設問に正しく答えているか」という点で評価されるからです。確かに、「起承転結」「序論本論結論」「(1)原因(2)問題定義(3)解決策(4)本論(5)結論」「(1)問題設定(2)意見提示(3)理由・データ(4)結論」「(1)議論整理(2)問題発見(3)原因(4)解決策(5)解決策検討」などいろんな型があり、その「型に合わせて書く練習を続けること」は、特に「論理的な枠組み」を身に付けるのには有効です。(「書くべき内容を箇条書きにする」「箇条書きにした内容の肉付けを考える」に該当します。)

但し、本番の試験では、設問は型通りになっていません。だから、こうした「枠組み」を学ぶステップは飛ばしてしまい、「設問に合わせて書く」練習をすすめてしまいましょう。時間がないので。

総合政策的アプローチはどこで使うの?

基本的には、上の1から3の各ステップの各ステップで使います。SFC小論文は「問題発見・問題解決に対する適性を確認する試験」であるという視点から設問を考えるから、全てのステップに影響するのは当然です。

1:設問から書くべき内容を読み取る練習をする

設問自体、必ず「問題発見・解決」の各ステップのどこか(多くは、問題設定か問題解決の部分)を確認するために作られているので、「書くべき内容」もそこにヒントがあります。

2:書くべき内容に対する適切な「質問」を設定する練習をする

自分のアイデアを引き出すための質問ですので、「問題発見」部分か「問題設定」部分か、でうまく自分への質問の仕方を変えましょう。

3:書くべき内容を箇条書きにする

書くべき内容の答えに、「問題発見」や「問題設定」の内容が盛り込まれているかどうかを確認します。全てを詰め込む必要はありませんが、字数と設問意図を加味しながら、必要な総合政策的アプローチのステップが書かれていることを確認します。

「箇条書きにした内容の肉付けを考える」「時間内に書く」部分は、総合政策的アプローチを使わなくもないのですが、そんなに重要ではありませんので、時間がない今は無視しちゃいましょう。

SFC小論文「ネタ力」を鍛える11の方法

なぜかここ2、3日「SFC 小論文 ネタ」というキーワードで、当ブログにアクセスしてくださる方がいらっしゃいます。そもそも「ネタ力」や「アイデア力」は、一朝一夕で身に付くものではないですし、ブログだけでお伝えできるものでもないです。さらには、そもそも私が人に教えられるものかどうかもよく分かりません。ただ、SFC小論文は、「ネタの良し悪し」に点数をつけるものではないと思っていますので、「ネタ力」に注力すべきではない、と思っています。その一方で、「新しい単位」「日本のデザイン」と言われて、頭の中に思いつくものは「漠然としたもの」にしかならないのは確かです。これを少なくとも、「小論文に落とし込むだけ」の「ネタ力」は必要です。今回はその観点から「ネタ力」を鍛える方法についての、エントリーです。

1:裏に隠れた価値観を見つけ出す。

SFC小論文は、総合政策的アプローチができる素地があるかどうかを確認する試験です。だから、「ネタ」もそれに沿った「ネタ」を探す必要があります。そのときに、一番キーになるのは「価値観」です。「解決策」は、「悪い価値観」から「良い価値観」に変えるためのものです。だから、「価値観」を探り出す力、「価値観」を設定する力が「ネタ力」に直結します。

2:「設問」「資料文」をよく読む

SFC小論文が「アイデア力」や「ネタ力」を強く要求しない理由の一つに、「設問」や「資料文」自体にヒントが明示されていることがあります。2012年環境情報学部の「スコビル値」や、2012年総合政策学部の「GNH」は、わざわざ資料としてヒントが明示されています。本当に「ネタ力」を確認するための試験であれば、こうした「ヒント」を出さないはずです。こうした「ヒント」が資料文に書かれているのであれば、「ネタ力」はそこそこでいい、というシグナルだと思いましょう。そして、こうした「ヒント」がなぜ出ているのかを、「設問」と「資料文」の位置づけを考えながら読み解きましょう。

3:価値観を排除して、自問をしましょう。

「新しい単位って何?」や「よい日本って何?」と、「形容詞」がついている質問に対して答えを作るのは非常に難しいです。「誰にとって新しいか」「誰にとってよいか」という問題がついてくるからです。だから、アイデアを出すときには、これを無視しましょう。そして「どんな問題を解決したい?」「どうやって解決したい?」という質問にすり替えましょう。SFCの「ネタ出し」で、「どんな問題を解決したい?」「どうやって解決したい?」以上の質問が出てくることは滅多にありません。

4:「問題解決ストック」を作っておく。

本番の「ネタだし」がつらいのであれば、「事前にネタを作って」おけばいいのです。そして、その「ネタ」に関しては、徹底的に総合政策的アプローチの観点から分析をしておきます。そういう鉄板ネタをいくつか準備しておけば、恐らくは90%の問題には対処できるでしょう。少々、本番で出てきたアイデアが陳腐であっても、元となるネタが総合政策的アプローチにしたがって整理してあれば小論文の内容自体はブレません。

5:「問題解決ストック」が過去問で使えるかどうかを確認する。

例えば、あなたが「教育問題」に対する「問題解決ストック」を作ったとします。そして、そのストックを「過去問」の例えば、「新しい単位」に当てはめてみるわけです。あなたの「問題解決ストック」がよい「ストック」であれば、「新しい単位」というテーマであっても、その「問題解決ストック」から派生した小論文が書けます。「日本のデザイン」でも同様ですし、「生活用品のデザイン」でも同様です。多少の「使いやすい・使いにくい」はあるものの、どのテーマでもヒントを与えてくれるのがよい「ストック」です。

ここで、注意しなければいけないのは、「分野毎にテーマを準備する」とは考えないことです。「政治分野」「教育分野」「看護分野」「電子図書館」「デザイン分野」etc際限がなくなりますので、テーマ毎に準備しようと思わずに、幅広いテーマに応用できるような鉄板アイデアを多くても5個を超えない程度に準備しておくことです。

5:本番形式で悩んだ経験を大切にする。

模試・添削・自習など、とにかくアイデア出しを本気でする経験を大事にします。これが一番の糧になります。このためには、苦しんでアイデア出しをした経験を意識して覚えておくことが重要です。そういう機会があった場合には、必ず終わった後に自分の「アイデア出し経験」を振り返りましょう。

6:オズボーンのチェックリストを使ってみる

ここからは、一般的な「ネタ力」「アイデア力」を磨く練習をいくつかご紹介します。まず、オズボーンのチェックリストをご紹介します。アイデア力・発想法の本では常に紹介される方法ですね。これは、困ったときにアイデアを出すためのヒントになるわけですが、逆にこれを使えば、アイデア力が磨けます。例えば、「トイレットペーパー」という名詞に対して「小さくする」というチェックリストを採用して「アイデア」を考えてみます。本番に、このような考え方はしませんが、ここでうんうん「小さくする」というアイデアについて悩んでみるのはアイデア出しの練習としてはよいやりかたです。

7:関係のなさそうなものをつなげてみる

オズボーンのチェックリストの項目の一つですが、「つなげる」という考え方は、脳の中の特別な働きです。脳のニューロンそのものが「つながり」と言ってもよいわけですから。だから、「関係のないもの」を頭の中で「合理的につなげる」という練習はアイデア出しの基礎体力になります。「みかん」と「財布」、「教育」と「リモコン」について、そのつながりを各40個づつ挙げてみます。あるいは、5分で思いつくものをどんどんあげていきます。そうやって脳に負荷をかけることがアイデア力につながります。

8:三題噺

なんだかんだで、これが小論文力やアイデア力を鍛えるのに役に立ちます。ただし、ある程度力がついた人がやらないと単なるだらだらエッセイを書き連ねるだけになってしまうので注意が必要です。
落語の形態の一つで、寄席で演じる際に観客に適当な言葉・題目を出させ、そうして出された題目3つを折り込んで即興で演じる落語
Wikipedia 三題噺より引用。
これを応用したやりかたで、ランダムに選んだ言葉について、小論文を作るわけです。Wikipedia には小説家の話は書いていませんが、小説家志望の人が三題噺でエッセイや短編を書く練習をしたりしています。

小論文に使うのであれば、例えば「日本のデザイン」というタイトルを決めておいて、新聞の1面・2面・3面から1ワードずつ言葉を選んで、その3ワードから小論文を30分で作る、等の練習をするのがよいです。アイデア出しの練習に使うのであれば、書いた後にその「アイデア」についてもう一度、アイデアの軸やポイントを取り出して考えてみます。論理の練習をするのであれば、そのまま文章の論理を追ってその正当性を考えてみます。やり方次第で色々使える方法です。やる人の文章力と批評力が問われるので、ある程度、実力がついてからやったほうがいいでしょう。

9:モーニング・ページ

私が知るかぎり、一番効果のある「アイデア力」「ネタ力」をつける方法です。なぜならば、周囲の人でこれをやって「アイデア力」「ネタ力」がつかなかった人がほとんどいないからです。但し、人を選ぶ方法であるとも思います。

私は、いわゆる「ライフハック系」の考え方の一つとして、アメリカのシステム・エンジニアが「モーニング・ページ」を使っている、と聞いたことがきっかけでこれをやってみました。(リファクタリング・ウェットウェア ―達人プログラマーの思考法と学習法 で知ったのだと思います。)けれども、モーニング・ページ自体は元ネタの本がありまして「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」という本です。この本は、パッと読んだだけだと「前向きにがんばろうよ」みたいな単なる自己啓発本に見えてしまいます。自己啓発本を否定するわけではないのですが、自己啓発本自体、「信じる人と信じない人がいて、信じる・信じないがその効果に大きく影響する類いの本」です。だから、私も「合う」と思う人にしか薦めないので、その時点でかなり人を選んでいることになります。私自身が「ずっとやりたかったことを、やりなさい」だけを読んでいたら、モーニング・ページをやってなかっただろう、ということが想像できます。

但し、効果は絶大です。

毎朝起きて、頭に思い浮かんだことをノートに書く。

たったこれだけです。ページ数は人によって色々ですが、2-3ページの方が主流のようです。体験談は、Amazonにも書いていますし、ネットを検索すればいくらでも出てくるので見てみてください。

10:おまけ・創作趣味は「ネタ力」「アイデア力」の役に立つか。

時々、趣味は小説(エッセイ・ポエム)なので文章力には自信があります。という話を見聞きします。アイデア出し、という観点でこれらの趣味に順位づけをすると、完全に私の勝手な考えですが、

・時事川柳
・短歌・定型詩(川柳含む)
・小説(短編)・エッセイ
(以上、それなりに役に立つ。)
・小説(長編)
・俳句
(以上、効率は悪いが効果がないことはない。)
・詩・ポエム
・二次創作
(以上、小論文対策としては時間の無駄。)

重要なのは、「自分のアイデアを必要とするか」「批評できるか」の二点です。「時事川柳」は、どのニュースを組み合わせるか、どのように「落とす」か、というところからアイデアを出せますし、時間を区切って考えることもできますし、「おもしろい」「おもしろくない」の批評軸も立てやすいので、アイデア出しの練習に向いています。短歌も、それに似ていますが、私生活を書きがちになる分、少し時事川柳に劣る。小説短編やエッセイも「自作」であれば同様の条件を備えやすいので「アイデア出し」の練習にはなるでしょう。長編は時間効率が心配ですが。ところがこれが「俳句」になると、「批評性」はあるものの、「自分のアイデア」というよりは、「歳時記」「季寄せ」という先人の知恵を下敷きにした上で追求する「新しさ」なので、アイデア出しの練習には向いていない。「歳時記」から(いろんな意味で)ずれていたら何はともあれアウトですから。たとえ、歳時記にはとらわれていなくても、無季俳句と川柳の区別を意識するような人は、「アイデア出し」として俳句を使うのはそもそも不適当ですし、危険。詩とポエムは批評が難しい。いわゆる時事川柳や短歌にある「枠」自体が取り払われるので、かなり自由度が高くなる分、アイデア力を磨くには「枠」が広すぎる。二次創作は、「俳句」と「歳時記」の関係に似ている上に、長文になりやすい。アイデアとしても、「このキャラならこう行動するだろう」ということを中心にアイデア構築をするため、大本のアイデアはむしろ単調になりがち。

でも、時事川柳を書くぐらいなら、三題噺の方が小論文の実力はつくと思うので、「趣味」をすることによるストレス解消以外はこうした文学の趣味には意味がないと思っています。

11:究極のアイデア力は「知ること」

結局、新しいことは、古いことを知っている上に成り立つものです。「アイデア力」を身につけたいのであれば、まずは今起こっていることを知ることです。その中で、自分が気になったことを、自分の中でよく消化することが一番のアイデア力につながります。「オリジナリティは情報の真空地帯には発生しない。」は、上野千鶴子の弁だったと思いますが、まずはとにかく知ること、そして、知ったことを自分の中で吟味することです。

以上、アイデア力・ネタ力・発想力のための11のポイントでした。

副作用は、それを答案に示す必要があるのか

ご質問をいただきましたので回答いたします。ご質問をいただいたのは、ブロマガの方で、おまけに管理人以外に見えない形になっていますが、過去にも同様のご質問をいただいていますし、総合政策的アプローチの話なので、ブログの方に回答させていただきます。
1:総合政策的アプローチの副作用というのは、それを答案に示す必要があるということでしょうか?
2:また、悪い副作用の場合、説得力にかけてしまうのではないか、と不安になります
当ブログコメント欄への投稿を意味を変更しない程度に改変
端的にお答えすれば、

1:必要があるときはYes。つまり設問によります。
2:説得力のある書き方をできない場合は避けましょう。

過去にいくつか同テーマで記事を書いているので、
「構成」と「総合政策的アプローチ」
どの問題にも3ステップを埋め込む必要があるか。
などをご参考にしていただけると、お答えになっていると思います。

入試では「全て」を確認することはできない。

SFCでは20**年は関係詞を知らない学生が入ってきてもよいと考えていた。なぜならば、20**年の総合政策学部の英語の問題で「関係詞」を問う出題が一問もなかったからです。

と主張している予備校があったとしたら、鼻で笑って相手にしたくなくなりますよね。変な予備校だな、と。けれども、多くの学校で「関係詞」を問わない年度が存在しただろうことは想像に難くありません。たまたまその年は出題されなかっただけで、「これぐらいの難易度の英語の試験が解ける学生は、だいたいうちの大学で勉強できるだけの学力を有しているだろう」と判断され、たとえその年の問題で関係詞を問う問題が一題も出題されなかったとしても、「関係詞」力(そんな用語があれば、ですけれども)も、その大学で勉強するのに十分である、と判断されます。

SFC小論文では、「問題発見・解決へのアプローチ姿勢」を手を変え品を変え確認する

ここまでは「常識」です。あとは、これをSFCに当てはめて考えてみましょう。

SFC小論文とは
「SFCで学ぶために必要な適性」があるかどうかを確認する試験
・「SFCで学ぶために必要な適性」とは「問題発見・解決へのアプローチ姿勢」を意味する
・「問題発見・解決へのアプローチ姿勢」を学ぶことがSFC合格への最短ルート

これはこのブログの基本姿勢ですね。これを信じないとこのブログの意味はありません。

これを信じれば、SFC小論文は「SFCで学ぶために必要な適性」である「問題発見・解決へのアプローチ姿勢」を手を変え品を変え確認するような入試を出題するはずです。この場合、「ある出題では、ある分野が手薄になり、ある出題では、ある分野が手厚くなる」ことが起こりえます。ここまで違和感はありませんね。さて、ここでフレームワーク思考として「総合政策的アプローチ」を考えると、「問題を「もれなく」「容易に(素早く)」把握するための「枠組み」を用いた思考方法」が「総合政策的アプローチ」となります。つまりは、どんな「問題」であれ、「もれなく」「容易に」把握できる枠組みとして「総合政策的アプローチ」をつかうことができます。

だからこそ、あるステップが重視される年度も当然存在します。

戻ってみると、「手を変え品を変え、問題発見・解決へのアプローチ姿勢」を確認するSFC小論文に関しても、たとえどんなテーマであろうとどんな形式であろうと、「問題」を問うている限りにおいて、「もれなく」「容易に」把握できる枠組みとして「総合政策的アプローチ」は機能します。ただし、もちろん「手を変え品を変え」ている結果、「ある出題では、ある分野が手薄になり、ある出題では、ある分野が手厚くなる」ということが起こっているので、例えば「問題の再設定」重視の出題であれば、「解決策の検討」は手薄になります。あるいは、「実行可能性の検討」に着目した出題であれば、「副作用の検討」は手薄になります。

これは、関係詞の例で示したように、SFCが「副作用の検討」をする力のない学生をとってもよい、とか、「解決策の検討」力がない学生をとろうとしている、という意味ではなく、「問題の再設定」がしっかりできれば、あるいは「実行可能性の検討」がしっかりできれば、「その他の問題発見・解決へのアプローチ姿勢」にも適性がある、と判断しているだけです。

だから、受験生はどのような出題にも耐えられるように、「総合政策的アプローチ」でどのような問題に対しても、「もれなく」「容易に」把握できるようになっていればよいのです。

「個性」について考えてみた

ベイトソンの「精神の生態学」からの一節です。
「きこりが、斧で木を切っている場面を考えよう。斧のそれぞれの一打ちは、前回の斧が木につけた切り目によって制御されている。このプロセスの自己修正性(精神性)は、木ー目ー脳ー筋ー斧ー打ー木のシステム全体によってもたらされる。
このトータルなシステムが内在的な精神の特性をもつのである」、「ところが西洋の人間は一般に、木が倒されるシークエンスを、このようなものとは見ず、『自分が木を切った』と考える。

そればかりか、“自己”という独立した行為者があって、それが独立した“対象”に独立した“目的”を持った行為を成すのだと信じさえする」、「精神的特性を持つシステムで、部分が全体を一方的にコントロールすることはありえない」、「システムの精神的特性は、部分の特性ではなく、システムの全体に内在する」、「調和的に働く一つの大きなアンサンブルにこそ、精神は宿るのだ」と
精神の生態学(ベイトソン))
この本は、受験生にオススメできるような本では決してないですが、とにかく「システム」や「自己」という視点をぐるりと一回転させてくれます。

「木を切るというプロセス全体を司っているのは果たして何なのか」という問です。この問自体は、もちろん大事なのですが、それよりも大事なのは「もののみかた」だと思います。人と違った「もののみかた」をしてしまうと、つい「中二病」とか言いたくなる世代ですが、それでもぐっと我慢して「もののみかた」の世界に入っていくべきです。



SFC小論文、特に環境情報学部では「個性」や「発想力」が重要だ、という意見を言われます。前者はともかく後者には多少なりとも同意できる部分はあります。出題の条件を満たしたアイデアを発見するのが難しいから、ほんのちょっとの「発想力」は確かに必要です。

けれども、「個性」を殊更に強調するやりかたに私は納得できません。「個性」は採点できないからです。正確には、ある人の「個性」とある人の「個性」を比較してその優劣をつけるのが難しいからです。「発想力」に関しては、「とりあえず条件に合うアイデアを書く事ができるか」という視点で点数化できます。けれども、「個性」に関しては、全く持って点数にすることができません。正確に言えば、うまく分類ができれば、「レア度」という観点で個性を点数化できますが、分類の恣意性から逃れることができません。

クラスで好きな男の子アンケートをとったら、多くの票が2人か3人に集中すると思います。1人にしか選ばれない男の子もいるでしょう。もちろん、誰にも選ばれない男の子もいるでしょう。さて、では「2人か3人のイケメン」を選んだ女の子は全員「没個性的」ですか?逆に「別の男の子」を選んだら、その人は「個性的」ですか?誰も、選ばないようなかっこわるくて性格も悪い男の子を選んだら、その人は「とても個性的」ですか?

 ところが小論文で「個性的なテーマ」という話をする際には、たいてい「1人にしか選ばれない男の子」を選ぶようなことがもてはやされることが多いのです。最近Twitterで見て、「おもしろいなぁ」と思ったのはSFC小論文で「コンドーム」をテーマにされた方がいたことに感動されている方のつぶやきです。このトピックで「生活用品」の話を書くのはとてもおもしろいと思います。ただ薄くすればいいってもんじゃないですよ。それは男性側の視点です 笑。ぜひ逆側視点で改良案を書いてみたいです。とても楽しそうです。
 ただ一方で、「コンドーム」を書いた時点で「個性的だ」と思ってしまう人がいます。それはとても危険だと思います。なぜなら、それは論理としては「1人にしか選ばれない男の子」を選んだ女の子を「個性的だ」と褒めるのと同じ論理ですから。

たぶん、イケメン2人か3人のうち誰かを選んだ女の子の心の中も色々だと思います。本当に「だいすき」と思っている人もいれば、「あこがれ」の人がいるかもしれない。本当に「だいすき」であっても、顔ではなく、体つきが好きなのかもしれないし、性格が好きなのかもしれない。ただ、「この人が相手を好きだ」という時の「個性」は、選んだ対象からだけでは何も分からないのです。人によって、その好きになり方はいろいろです。

ひょっとしたら、クラスであまりもてない男の子を選んだ女の子は、単にみんなが知らないところでその男の子が「優しい」ということを知っていたかもしれません。「優しい男の子」を好きになるのは「普通」のことです。別に「個性的」でもありません。けれども、ある男の子を女の子が好きになる、それは決して「普通」ではなく、それぞれが「個性的」なのです。その好きになり方がミーハーで「キャーキャー」言ってるだけであれば、「イケメン」なり「やさしい男」という他人からのレッテルや情報で相手を好きになっているのかもしれません。それは、とても「没個性的」でしょう。

さて、そろそろ話をそろそろ終わりにしましょう。冒頭のベイトソンの引用に戻ります。「テーマを個性的にならしめているもの」とは何でしょうか。あなたでしょうか?周囲でしょうか?それとも社会でしょうか?あるいはテーマ自身でしょうか?難しい問ですね。

この問いに「テーマを個性的にならしめているのは、SFCの先生である」と答えられる方は、どうぞお好きに「個性的な答案」をどうぞお書きください。



そうなると、「何を書けばいいのか」というと、あなたが「特別な感情を抱けるもの」を書けばいいのです。そして、あなたの「特別な感情」を題意に合わせて伝えればいいのです。塾や予備校が教える「書き方」ではなく。そのためには「個性的になる」ために、「自分が好きな物を、何で自分は好きなんだろう」「どうすれば好きなんだろう」と考える必要があります。「コンドーム」を題材に選んだ方は、「コンドーム」が好きだったかどうかは分かりませんが、少なくとも「コンドーム」に「特別な感情」を抱いたはずの答案を書けたんでしょう。けっして、単に「薄くしよう」という答案にしたわけじゃないと思いますよ笑。

他の記事にも書きましたが、「自分が好きなもの」が他の年度の過去問で使えるかどうか「確認」すればいいのです。それこそが「個性的な答案」へのスタートだと思います。だから、自分が個性的な答案が書けそうにないから、ってSFC小論文をあきらめなくていいですよ。

 「好きな物が何もない」というのであれば、私は「SFC小論文」はあきらめた方がいいかもね、とアドバイスしますけれども。

2003年・環境情報学部の小論文をご投稿くださったHong 0様へ

手元に問題文がないと添削は不可能です。申し訳ございません、ここに書いてある通り、ネット上に問題がある問題のみ添削ができます。もし、この年度の問題をネット上で見ることができるのであれば、大変お手数ですがご教示ください。
・出来れば、気に食わないとこを改善した文章も載せてもらえるとありがたいです。ex)環境情報の生活用品の質問された方に対しての推敲文の時みたいな…
・大体の点数も出来ればお願いします。
それが、できそうであれば、そしてそうすることが意味がありそうなのであればそうします。
・7割(5分)を目指してるので、そのLevelに達するにはどう改善して行けば良いのか教えてもらえると嬉しいです。
点数の根拠が分かりませんが、とりあえずご投稿いただいた方や、その添削を読む方にとって参考になるような添削を目指しています。20点の答案の方に、140点に一足飛びするような解説は書かない、ということでもありますが。
精神状態:自分では正直、かなり出来が悪いと思ってます。書いてる間だんだん自信がなくなってきて、諦めが入り始めて、『こりゃ間に合う間に合わない問題じゃないかもな…』って感じになりつつ書いてました。なんか文章も当たり前のようなことしか書けず、幼稚な文章だな~って書き終わってそう思いました。しかも、自分が主張する事を見失っている事もありまして、知識自体そもそもないんで、フリーエージェントか~ってボーッとなります。
書き終わって、赤本の解答で見比べたら、内容がだいぶ違ってましたし…溜息かなり出ます。
赤本の解答や予備校の模範解答は信じていません。あれを試験本番で書くのは不可能です。

 前にもどなたかに書いた気がしますが「できがよい、できが悪い」を判断できるほど自分に実力があるかどうかを、まず考えてみてください。もし、それがないのであれば、あなたの感じている感覚は「根拠のない妄想」です。
 また、「幼稚な文章」とはどういう文章なんでしょうか?このブログは、隙さえあれば、恋愛で「例」を出す「幼稚なブログ」ですよ(笑)。もっと「高尚な例」を思い付かないんでしょうか…私は…。ともかく、私には「幼稚な文章」という感覚が分かりません。何が「幼稚」か「幼稚でないか」を明確に定義できない以上、「幼稚」について語る資格はないし、ましてや、その自分が勝手に判断した「幼稚」という感覚で、自分の良し悪しを決めて、自縄自縛に陥るのは、ナンセンスでしょう。

 そういう時間があるのであれば、ぜひこのブログをしっかりと最初から最後まで読んでみて下さい。あなたが感じていることの不安に対する答えの少なくとも半分は、このブログに既に書いてあります。

ネタ(新聞や雑誌などの資料)の整理方法について考えてみた

当ブログでは、SFC合格のために、「知識習得は必須ではない」と主張しています。ネタ集めの記事にすら、第一歩は「総合政策的アプローチ」だと明記しているぐらいです。ただし、もちろんこのブログ以外のところで対策をしてらっしゃる方も多い、と思うのでネタの整理方法をご紹介したいと思います。

ネタの整理方法

形式

紙・PC・スマホなんでもよい。とにかく、情報を保存したいと思った時に、すぐさま保存できる形式がよい。私は現在、ほとんどの情報をEvernoteに保存しています。

ただ勉強のしやすさはやっぱり「紙」ですよね…。

見出し

どんな「材料」にでも、それを示す「見出し」や「タグ」が重要になります。試験本番では、「検索機能」を使えないので、「脳」という検索機能を有効に使うためにも、「見出し」は必須です。

出典

書籍名、URL、ページ数、著者、発行年月日、出版社等はメモしておく方がよいです。Evernoteだと、Amazonのリンクを貼るだけいいんで楽なんですけれどもね。

紙でやる場合には、Amazonの該当書籍のページを印刷して、裏に「ネタ」を書く、という方法が手早いです。

明確な引用

原文に忠実に引用してください。もちろん、主観を排除するのが第1目的です。原文を忠実に引用していれば、その言葉をインターネットで検索するとさらによい情報に行き当たることが多いです。引用箇所が明確に分かるように「」などでくくっておきましょう。に

使用方法

どんな話題で、どのように使うのか、の分類を記載しておきます。

統計・アンケート:調査年月日

いつ、その資料が作成されたのか、という情報は重要なポイントです。「津波てんでんこ―近代日本の津波史」という本が「東日本大震災」前に書かれたのか、後に書かれたのか、ということを知っているかで、この本へのイメージはずいぶん変わります。

統計・アンケート:調査機関

どこの誰が、その調査を行ったのか、ということも極めて重要な情報です。例えば「JTの調査により、たばこは健康を害しないことが分かった」という記事はあまり信頼ができそうにありません。たばこの販売に関する特殊会社の研究ですからね。同じように、「誰が調査をしたか」ということによって、信頼性や結論が変わってくる場合があります。同じデータを見ても、異なる結論になることもありえますから。

統計・アンケート:調査した対象や調査方法

どういう人をどれくらい、どのように調査したか、ということです。インターネット上のコピペですけれども、このコピペは非常に示唆的ですよね。
インターネット利用率ついに100%に-総務省の実態調査で判明

 先月27日に実施された、インターネット利用に関するアンケートで
 インターネットの利用率が100%となっていたことが明らかになった。
 麻生総務大臣は「これは政府主導によるIT政策の効果の現れと言っていいだろう」
 とのコメントを発表した。

調査したのは、総務省統計局統計センターなど。今年四月にネット上でアンケートを実施し、約二万三千人から回答を得た。

ネタのチェック方法

・主張したいこととその根拠となる内容は対応しているか?

これもネットのコピペを見る方が分かりやすいですね。
主張:「パンは危険な食べ物」
根拠:
・犯罪者の98%はパンを食べている。
・パンを日常的に食べて育った子供の約半数は、テストが平均点以下である。
・暴力的犯罪の90%は、パンを食べてから24時間以内に起きている。
・パンは中毒症状を引き起こす。被験者に最初はパンと水を与え、後に水だけを与える実験をすると、2日もしないうちにパンを異常にほしがる。
・新生児にパンを与えると、のどをつまらせて苦しがる。
・18世紀、どの家も各自でパンを焼いていた頃、平均寿命は50歳だった。
根拠も一部統計学的に怪しい主張がありますが、根拠は基本的に正しいです。けれども、主張はぐちゃぐちゃです。ただし、これが「もっともらしい事実について書いている場合」はよく騙されたりします。

・発言者や引用元に問題はないか?

雑誌・女性自身によると、「草食系男子が減っていること」が分かった、と書いてあっても信頼しづらいですよね。

・統計数値は古くないか?

「スマートフォンの普及率は1%です(2009年)」という統計数値をあなたは小論文で使えますか?ただ、資料の発行年などをよく見ないと、よくこうした統計数値に騙されます。いたずらに新しい必要はありませんが、無意味なほど古くても意味がありません。

なぜ、それが「ネタ」となるのか?

あなたの「男性」の好みは他の友達と同じですか?(男性なら、あなたの「女性」の好みは?と言い換えて考えてみて下さい。)普通は、人によってそれぞれです。もちろん多くの人が「かっこいい」「かわいい」と思う人が、芸能人やアイドルになっていたり、クラスで人気があったりするのは確かですが、万人の意見が一致するわけではありません。それを決めるのは「個性」であり「自分の価値観」です。

同じように、「ネタ」も「なぜ自分がそれをネタと思うか」ということを突き詰めると、そこにあなたの「個性」や「価値観」があるはずです。「ネタ」を集めるのも重要ですが、その「ネタ」の背後にあるあなたの「個性」や「価値観」を探る事の方がよほど重要です。これは、SFC小論文では、「個性的なネタ」を書く必要がある、ということではありません。その「個性」や「価値観」を明確化することで、あなたにとって強固でいろいろな話題に対して応用の効く話題・テーマ・ネタが生まれる、ということです。それがあれば、少々変わった問題が出題されても対応できます。だから、「ネタの背後」にある「自分とのつながり」を探りながら、知識を集めていくべきなのです。

決して、「予備校や塾の先生が大事だ」といっているからこのネタがよい、「SFCの先生がこの研究をしているから」からこのネタがよい、とは考えない方がよいです。

「資料集め」は「資料速読」につながる

SFC小論文に対して、幅広い知識やネタ集めをさせることは、多くの予備校や塾講師の定番の勉強方法です。私は、それに全くもって反対の立場です。それは、このブログでも何度も主張している通りです。

但し、「多くの資料を学習すること」は資料文を「速く読む」練習には繋がります。本番ではいろいろな資料が出てきて、それを処理しなければいけません。その時に、この上であげたような視点で、自分の持っているネタを整理した経験があるのとないのとでは、大きく状況が異なります。もちろん、資料をまとめることに凝り過ぎることに意味はないけれども、「資料を整理する視点」を自分の中に生まれさせることは重要です。

ぜひ、バランスをとりながら、

・資料を素早く整理する方法を身につける
・ネタを「ネタ」と感じる自分の価値観を掘り下げる

こともしてみてください。

SFC小論文の構成を決める「縦糸」と「横糸」

今回は、小論文を書いていくための、構成にかかる大事な話を書きます。まずは、先に重要なポイントを挙げておきます。これが理解できれば、この記事をマスターしたことになります。

SFC小論文の「縦糸」と「横糸」
<縦糸>設問の意図
 ・「設問文」及び「総合政策的アプローチ」を中心につなぐ。
 ・問題間または同一問題内
<横糸>単純論理力
 ・「単純論理力」で文章をつなぐ。
 ・同一問題内のみ

今回、イメージをしやすいように、おかしな言葉を定義しました。「単純論理力」という言葉です。この言葉は勝手に当ブログ内でで勝手に作成した言葉ですので、順番に定義をしておきます。まず辞書を引いてみます。
論理
1 考えや議論などを進めていく筋道。思考や論証の組み立て。思考の妥当性が保証される法則や形式。「―に飛躍がある」
2 事物の間にある法則的な連関。
3 「論理学」の略。
デジタル大辞泉より抜粋
この意味での「論理」を操る力を、「広義論理力」と定義します。そして、このブログでの「単純論理」は

単純論理
 ・「言い換え」の関係で前後の文章をつなぐこと
 ・「原因・結果」の関係で前後の文章をつなぐこと

と定義し、「単純論理力」とはこの「単純論理」を操る力と定義します。さて、ここまで準備をした上で、話を進めていきましょう。

SFC小論文の縦糸:問題間

問題1 資料A、資料B、資料Cを読んで、メディアとコンテンツはどのような相互関係にあるかを整理して、解答用紙に600字以内で記述してください。

問題2 あなたは、ちいさなこども(3〜10歳くらい)を対象にした、「こどもの歌」の2〜3分の映像コンテンツを制作あるいは製作することになりました。〜(中略)〜。このとき、制作者あるいは製作者の立場から、具体的な事例を考えて、そのための企画案を作成して、解答用紙に600字以内で記述してください。〜(中略)〜。企画案には次の事項を含めてください。(1)短めのタイトル、(2)企画したコンテンツの意図、(3)あなたの企画案を誰に読んでもらうつもりで書いたか(4)企画の具体的な内容。
出典:慶應義塾大学環境情報学部2009年小論文
この問題は、「問題1」と「問題2」が繋がっています。この「問題1」と「問題2」の関係は、「設問文」及び「総合政策的アプローチ」でつなぐことができます。つまり、「問題1」で「メディアとコンテンツの相互関係」を整理した上で、「問題2」で「コンテンツ」として「企画」を行いなさい、という縦のつながりがあるわけです。

SFC小論文で問題が複数ある場合
 ・必ず「問題間」には「つながり」がある
 ・そして、その「つながり」は「設問」及び「総合政策的アプローチ」でつなぐ事ができる。

ということです。例えば、資料1を読むと、問題解決・問題発見が論じられていますよね。このあたりから、考えても「総合政策的アプローチ」が使えそうな事はわかりますよね。今回は、問題に深く踏み込むつもりはないので、「複数の問題間をのりづけるするのは、「設問意図」と「総合政策的アプローチ」だ」、と覚えておいて下さい。そして、ここでは証明を避けますが、「問題間をのりづけするものは、総合政策的アプローチであることが多い」ということも付記しておきます。

SFC小論文の縦糸:同一問題内

問題1
 資料1〜5の内容を参考に、各資料に共通する論点、立場の異なる論点、あなたが重要と考える論点などを挙げつつ、グローバリゼーションが世界の政治・経済にもたらしている変化について論じてください。
慶應義塾大学総合政策学部2012年 小論文 設問より抜粋
さて、この問題を箇条書きすると、
 ・各資料に共通する論点
 ・立場の異なる論点
 ・あなたが重要と考える論点
 ・世界の政治・経済にもたらす変化
を書いてほしい、ということですよね。これを読みとるのは「設問を読み取るための読解力があるかどうか」につきます。大した読解力ではありませんけどね。とにかく、「書くべきこと」は設問に書いてあるわけです。いいかえれば、同一設問内の書くべきことを、設問文が「のりづけして」います。さらに言えば、「グローバリゼーション」は「政治・経済に変化をもたらす」という点に着目すると、「グローバリゼーション」は「解決策」です。この観点から、「総合政策的アプローチ」がつかえそうです。例えば、4番目の「世界の政治・経済にもたらす変化」という「解決策」に対して、その前の「共通点・相違点・自分の注目する点」をつなげることを考える時に「総合政策的アプローチ」が役に立つでしょう。これは各ポイントを「総合政策的アプローチ」で「のりづけして」いるということでもあります。これは、同一設問内を「設問」と「総合政策的アプローチ」がのりづけている、ということでしょう。この関係も「縦糸」と呼びましょう。

SFC小論文の横糸:同一設問内

問題1 あなたがこれまでに、印象的な関わりを持った生活用品を一つ挙げ、それがどのようなものであったか、あなたがそれを通じてどのような体験をしたか、なぜそのような体験が得られたのかを、500字以内で説明してください。その体験は素晴らしいものであっても、がっかりしたものであってもかまいません。必要であれば、解答欄右側の四角の中に図や絵を描いて説明の補助としてください。慶應義塾大学環境情報学部2012年設問より抜粋
まず、この設問は縦糸として、「設問文」が「書くべき内容」をつないでいます。これは、ここまでで説明した通りです。
 ・印象的な関わりを持った生活用品
 ・どのようなものであったか
 ・どのような体験が得られたか
 ・なぜそのような体験が得られたのか
という「解答欄に書くべき内容」を「設問」がつないでいます。ところが、この「縦糸」がつないでいる個々の内容を「一文」で書く事ができますか?おそらくは、難しいでしょう。全部で500文字書かなければなりませんから。原稿用紙で言えば1枚と1/4枚です。それだけの文章を4文で書くことは不可能です。したがって、各「縦糸」がつなぐ個別の「書くべき内容」を、複数の文章にしなければなりません。その「複数の文章間のつながり」が「横糸」です。したがって、「横糸」は同一問題内にしかありえません。必ず、絶対に、確実に、です。
私は、小学生の頃、農業体験の授業でこの草刈り鎌を初めて用いた。授業で植えたサツマイモの葉や茎を傷つけずに、狙いを定め雑草だけを刈り取ったことを覚えている。作業をしているうちに、10分も経たずに腰が痛くなったことも印象的だ。特に、指導に来て下さった農家のおじいさんが年々腰をかがめるのが辛くなってきた、と嘆いていたことが今も頭に残っている。当ブログ記事「2012年 環境情報学部 解答例&推敲例」より抜粋
この文章では、1文目が「農業体験の授業で体験した」ということを説明しており、次の3つの文章でその内容を「詳述」しています。つまりは、「詳述」という「言い換え」を用いています。これが「詳述」であるということは、その後ろの3文が「も」という「助詞」や「特に」という「接続詞」で繋がれていることからも分かります。つまりひとつひとつの「書くべき内容」は、「言い換え」や「原因・結果」という「つなぎかた」で、内容をふくらませていく必要がある、ということです。これを「SFC小論文の横糸」といいます。「いいたいこと」を分かりやすく伝えるためには、タイトルをつけたり、例示をしたり、比喩をつかったり、詳述したり、短くまとめたり、といった「言い換え」や、なぜ「それが主張できるのか」ということの説得力を増すために「理由」や「原因・結果」を付け加えるという手法があります。これが冒頭で定義した「単純論理」です。SFCだけではなく、他の全ての大学でも使える能力です。一方で、「縦糸」は「SFC小論文の設問を見る」か「総合政策的アプローチをつかう」必要があるので、「SFC固有の方法」と言えるでしょう。

小論文の構成は「縦糸」と「横糸」を意識することが重要

ここまでくれば、結論は見えているでしょう。SFC小論文の構成を決める、とは各「書くべき内容」を「縦糸」でつなげていき、「書くべき内容」の中身を「横糸」でつなぐ、という「つなぎかた」を決定する、ということです。

これを意識すると「構成」のやりやすさが格段に変わります。一度、意識してみてください。

「総合政策的アプローチ」は「環境情報学部」でも使えます!!

総合政策的アプローチは「環境情報学部」でも使える!

その名前から「総合政策的アプローチ」は、「環境情報学部の入試には使えない」と思われがちですが「総合政策的アプローチ」は、環境情報学部・総合政策学部双方に使えます。このブログでは、

「総合政策的アプローチ」は、「SFC特有の問題解決に対する取り組み方」を、「小論文用にまとめたフレームワーク」

を指します。

環境情報学部・総合政策学部が双方とも「問題発見・解決」を基礎理念とするということを一応証明しておきましょう。
先生:SFCの中心理念は何かと尋ねれば、 問題発見・解決だという答えが返ってくるのは知っているよね。 これはお隣の環境情報学部も同じだし、 大学院の理念にもつながっている。
 2010年総合政策学部・資料文1
総合政策学部・環境情報学部のカリキュラムのコンセプト
(中略)
SFCの教育=研究理念(問題発見解決型の人材育成)を実現し、
SFCガイド,p31
ということで、環境情報学部・総合政策学部とも問題発見・解決を中心理念とすると主張するのは、間違いではなさそうです。

したがって、

SFC小論文とは
「SFCで学ぶために必要な適性」があるかどうかを確認する試験
・「SFCで学ぶために必要な適性」とは「問題発見・解決へのアプローチ姿勢」を意味する
・「問題発見・解決へのアプローチ姿勢」を学ぶことがSFC合格への最短ルート

という当ブログの考え方が間違いでなければ、「総合政策的アプローチ」は「環境情報学部」の入試でも素晴らしい効果を発揮します。環境情報学部の各年度の入試が「問題発見・解決へのアプローチを問うているか」ということは、各年度の過去問の記事を見ていただければイメージがつくと思います。過去2年分は、2011年・2012年 過去問総評と資料文・問題構成についてという記事で紹介していますので、こちらもご参照ください。

両学部のテーマ性の違いについて

村井純 環境情報学部長の発言からSFC入試の採点基準を探ってみた。という記事でも紹介しましたが、SFC小論文のテーマには

総合政策学部…政策
環境情報学部…理系

というバイアスがあるようです。学部長が言っているので、そこそこ信頼できそうなバイアスです。これを以て、両学部のテーマは全く異なる、と断言するのは早計ですが、無視できるような情報ではありません。だから、このブログでは思い切ってこう言ってしまいたいところです。

総合政策学部…「政策」をテーマに、問題発見・解決に対する姿勢を問う小論文
環境情報学部…「理系っぽい」をテーマに、問題発見・解決に対する姿勢を問う小論文

これで納得できる方は、これで納得しておいてください。
 ただ「理系・文系」の別は非常に恣意的なものなので、私はこの分類は好きではありません。国によっても、時代によっても、違うものを指しますから。気になればWikipedia「文系と理系」を読んでみて下さい。そこで私はこう変えたいと思います。

総合政策学部…「政策」をテーマに、問題発見・解決に対する姿勢を問う小論文
環境情報学部…「サイエンス、テクノロジー、デザイン、環境と情報」をテーマに、問題発見・解決に対する姿勢を問う小論文

です。環境情報学部の理念から言葉を持ってきました。こちらの方がまだマシだと思います。この定義であっても、総合政策学部で「政策デザイン」についての出題がなされているじゃん? という疑問には答えられないんですが、厳密に分ける必要もないので、これぐらいの分類でちょうどいいでしょう。

強調するならば、「環境と情報」の捉え方に注意が必要です。

「環境情報学部」の「環境」は、いわゆる手垢のついた言葉の「環境問題」の「環境」ではありません。また、誤解を恐れずに言い切れば「情報」はいわゆる手垢のついた言葉の意味での「IT技術」の情報(I)ではありません。「情報」と「環境」は「不可分」です。これは、人間だけでなく、全ての生物について、また「認識」の定義を拡張することによって社会にさえも、当てはまる考え方です。これを理解しておくと、「アフォーダンス」「オートポイエーシス」「身体知」といった理論がなぜ出題されているか、ということを「環境」と「情報」に還元できます。ここは、注意してもし過ぎることはありません。これは、私の拙い文章を読んでいただくより、プロの方にお任せした方がよいので、この3冊を紹介しておきます。
佐々木正人の「アフォーダンス」だけは、アフォーダンスという認知・環境・情報に関する理論の本です(SFC受験生にはなじみの深い理論ですね)。テーマ別の対策をお勧めするようで、この本を紹介するのは好きではないんですが、とにかく内容がいいです。この3冊の中で絶対読んでおくべき文章はと尋ねられると、「アフォーダンス」の「あとがき」とお答えします。(本を丸ごと一冊であれば「生物から見た世界」です。)講談社学術文庫のアフォーダンス入門を勧める方がいるようですが、岩波書店のこちらの本が段違いに内容が分かりやすいです。
 また、情報というテーマには多少荒っぽく4分類して、他の受験生と大きな差がつく「情報テーマ」を理解する4つの話というエントリーを書いています。「情報」への見方が広がると思います。

2011年・2012年 過去問総評と資料文・問題構成について

2012年 総合政策学部

総評

テーマは「グローバリゼーション」。総合政策的アプローチとしては「グローバリゼーション」を「解決策」と見抜けたかどうかがポイントとなる。この年度の小論文は飛ばしてもよいぐらいです。読解力さえあれば解けます。

資料文

事前に読む価値のある資料文がありません…。

設問

「1.問題の再設定」と「3.解決策の検討」を中心に回答。

2012年 環境情報学部

総評

テーマは「デザイン」。デザインという言葉は、環境情報学部の理念にも入っているキーワードです。2012年の資料文を熟読した上で理解を深めましょう。なお、この年度の資料文を理解をする時のポイントは、過去の「デザイン」と現代の「デザイン」は違うことを念頭に置いた上で、現代の「デザイン」=「問題解決」とほとんど同義と考えることです。

資料文

SFCの理念を理解するために、事前にしっかり熟読しておきたい資料文は、「資料2」と「資料3」です。なお、文中のキーワードを拾っていくと、「資料2」と「資料3」はそれぞれSFCが肯定的にとらえている「デザイン」と「テクノロジー」についての資料だと分かります。一方で、これはSFCの理念中にある「デザイン」「テクノロジー」を示していると見るよりは、「デザイン」と「テクノロジー」の垣根はなくなりつつあり双方とも「問題解決」という言葉に置き換えられると見た方がいと思います。これらを理解した上で、「資料1」と「資料4」を補足的に理解するとよいと思います。
 逆に問題を解くためには、「資料1」と「資料4」は必読。「資料2」と「資料3」は、SFCの理念について説明しているのに近い文章なので、事前に大枠を理解しておけば読み飛ばせる資料文。なお、資料文2の引用元複雑さと共に暮らす―デザインの挑戦はSFC対策として読んでおいて損はない本。

設問

この設問を通じて「生活用品」を「解決策」として見る視点が重要です。問題1は、「1.問題の再設定」を睨みながら、「3.解決策の検討」を中心に書いていくタイプです。「生活用品」がもたらした状況の背景にある「価値観」を浮き彫りにするのが問題1の役目です。但し、ここでそのまま「1.問題の再設定」を書くと文章としては不自然となるので、「3.解決策の検討」を通じて問題2で取り上げたい「価値観」に目を向けさせるような書き方をしたい。問題2は「1.問題の再設定」をしっかり書いた上で、どのような「生活用品」を作りたいか=「3.解決策の検討」に触れる問題。当然、全肺の「1.問題の再設定」をきっちりと書くことが重要となる。

2011年 総合政策学部

総評

「総合政策」という概念を理解するための良問。2010年の資料文を読んだ後に、この問題に取り組みたいところです。テーマは「日本のデザイン」。このテーマからも「デザイン」とは環境情報学部ひとりが持つ言葉ではないことが分かります。だから両学部の勉強を双方しておくべきです。

資料文

総合政策的アプローチを理解するために熟読しておきたい文章は、「資料6」及び「問題文」の祝辞要約部分。まず「資料6」は、「設計科学」=「総合政策学」として理解し、理解することが重要です。よく言われるSFCの「文理両方学べる」という特徴は、「設計科学」=「総合政策学」の観点からの要請であり、「リベラルアート」とは一線を画すこともこの資料から理解しておきましょう。また「問題文」の祝辞要約部分を理解した上で、英文の「資料1」と「資料4」を補足的に理解しておきましょう。「部分」と「全体」という「1.問題の再設定」の一つのテーマについて論じた部分です。個人的には、「問題」の文章中の「要約」をしっかり意識すれば、それで十分とは思いますが。「資料5」は「1.問題の再設定 ①価値観の設定」についての補足資料。この中では「正義」という価値観について説明しています。総合政策的アプローチのうちの難しい部分ですね。「資料2」「資料3」は試験本番にアイデアを出すための補足として役に立てる資料。つまり、本番では全く読まなくてもよいかもしれない資料です。アイデアが思いつかないひと用のヒントです。特に「資料3」に目がひかれますが、これは「1.問題の再設定 ①価値観の設定」をしっかりやりました、という事例紹介です。本質ではなく事例として読みましょう。

設問

問題1は、(1)は「1.問題の再設定」(2)は「 ①価値観の設定」(3)は④解決策の検討、⑤実効可能性の検討 ⑥実行可能性の検討が問われています。特に、⑥実行可能性=「あなたができるか」という視点が重要となるので注意が必要。問題2は、「総合政策的アプローチ」そのものを書けばそれでほぼOK。この問題固有のポイントとしては「部分と全体のパースペクティブのフレキシビリティ」を強調したほうがよいでしょう。

2011年 環境情報学部

総評

テーマは「新しい単位」です。重要ではあると思うものの、個人的にはやり過ぎ感がある問題だと思います。何よりも「単位」を「指標」「インデックス」と言い換えても意味が通るので、問題設定の甘さが気になります。背景にある「サイエンス」と「テクノロジー」についての「SFCの捉え方」を理解することが重要となります。

資料文

「資料1」と「資料2」は事前に熟読しておきたい資料。「資料1」は、「テクノロジー」=「問題解決」を意識して読んでおくとよいでしょう。2011年・2012年の環境情報学部の資料を読んでおけば、環境情報学部の理念にある「サイエンス、テクノロジー、デザイン」の3つを網羅したことになります。SFC理念上「サイエンス」と「テクノロジー・デザイン」間には大きな差があることがこの資料から読み取れます。「資料2」は「資料1」とほぼ同義なので、「資料1」か「資料2」の分かりやすい方を理解しておいて、その後にもう片方に手を出すべきでしょう。「資料3」は、「価値観をどうやって計るか」という重要な問題提起に直結するものの、重要度は「資料1」「資料2」よりも少し落ちます。ただ本番で問題を解く際には、重要となる資料でもあります。「資料4」は飛ばしておいても大勢に影響はありません。「資料5」「資料7」もアイデアを出すためのお手伝い資料なので、本番ではアイデアが思いつけば全く読む必要はありません。「資料6」は、「情報」について説明した資料なので重要ではあるものの、「環境情報学部」の「情報」とは少し毛色が違うので、余裕がなければ飛ばしてもよい資料です。ただ、「情報」概念は高校ではきちんと学ぶのでこういった定義を知るために読んでおくことに損はありません。

設問

 問題全体を通じて、「どのような問題を解決したい」という「1.問題の再設定」を意識することが重要です。そして、その「問題」そのものを計ることを考えます。これは「価値観を計ること」と同義です。
 問1は、「1.問題の再設定」そのものです。問2・問3は、⑤実効可能性の検討と⑥実行可能性の検討が問われています。「問題」と「単位」が「直結」していないと、解決策の結果が「よい」か「悪い」かが分かりません。この「よい」を適切に計る、というテーマがここになります。問4は「1.問題の再設定」を中心に書くのが無難でしょう。というより、ここに触れないと600字も埋めるのは困難だと思います。

この問題は「いかに自分の発明した単位が問題に直結しているか」を証明できることが勝負の分れ目になります。アイデア勝負の答案を意識してしまうと「いかに計れないものを計るか」という単なるサイエンス的な小論文になり、「テクノロジー」=「問題解決」重視の小論文、すなわち資料1・資料2を活用した小論文になりません。