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環境情報学部・2015年

環境情報2015(添削まとめ)いろは塾(夏期講習)2019

はじめに

いろは塾(夏期講習)5日目!いわゆる「発想系」と呼ばれそうな問題ですよね。実際のところは、環境情報学部も総合政策学部も大した違いはなく、同じ適性を磨けば良い(テーマが政策系と理系で分かれているので、資料を読むのにあると便利な知識は多少違う)だけなんですが。

現に、この問題は、

・設問を読まずに書くべきことを書かずに終わる

人がたくさんいました。(ほぼ全員じゃないかな。)

得点分布

SFC環境情報学部2015年度小論文添削結果表

いろは塾の過去問添削ではいつもこの表を作っています。みなさまの順位表です。「順位」に関しては、「今回の参加者データ」から計算しているのでそこまで参考になるものではないですが。ただ概ねの傾向はわかります。この問題の場合は、

諸数値
平均   : 95.5
標準偏差 : 21.4
#     : 11

この標準偏差の低さは、みなさまのレベルが多少あがった証拠でもあります。(ただ、いまのところ、「最低限の項目の一部をみんながミスせず書けるようになった」ぐらいだと勝手に予想します。

時間をかけすぎない

この問題の設問1には、時間をかけすぎるべきではありません。後半の問題にさしさわりが出てしまうので。「わかりやすいタイトル」「魅力的なサブタイトル」も、多分に主観的なものなので、そこにとらわれすぎるよりは、さっさと次の設問にいきましょう。

設問をしっかり読む

この問題も、「設問をきちんと読めば、」かなりのレベルで合格に近づきます。みなさま、それが苦手なだけです。総合政策2016の問題も、環境情報2015の問題もそうなのですが、予備校によって教える内容が大きく違うと思います。ただ、「最低限、設問を読めば、絶対にそんな答案にならない」という内容を模範解答として掲げている予備校もあります。それは単なる設問の読解不足です。設問をしっかり読みましょう。ここは、1個グループワークみたいなものを入れないと、うまく伝わらないし、「へぇ」で終わってしまうので、ここでは書きませんが。気になる方は、夏期講習の動画講義にお申し込みください。

アイディアはほどほどで…

この手の創造力を発揮するタイプ(と言われる問題)に関しては、「過度に創造性を意識しすぎない方がいいです。「未解決の問題を解決するアイディアを2時間以内に思いついて答案用紙に書く」のは無理があります。

こんな場面を想像してください。

SFCの授業で、「はい、みんな、近くの人と話し合ってください」と言われて、会話が止まらない程度に、先生の意図に沿っている適切な話題を持ち出している人

SFC小論文で問われるアイディア力や創造力とはこういうレベルのものだと思います。無理して、すごいアイディアをおもいつこうとすると答案が書けなくなります。気をつけてね。

得点が低い人の傾向

得点が低い人は、

1:設問を理解できていない。
2:資料文を理解できていない

の両方の特徴があります。「設問が理解」できなければ、正しく書くことも、正しく資料を読むポイントをおさえることもできません。そして、「間違った設問理解」のまま、資料を読んで、外したポイントの該当箇所を読み取って、その内容を答案に書く(ただし、設問を理解してないので、ここでも間違った内容を書きます。)このような二重三重の遭難をします。また「設問を読めてるつもり」になってる方も多いです。自己採点だとかなり点数が高いのに、私が採点すると低くなっちゃうんですよね。それは「設問を正しく理解していないから」です。

分布グラフ

SFC環境情報学部2015年度小論文添削結果グラフ

今回は「ぎゅっ」と中央に寄った分布グラフです。「設問に合わせて書く」が一部は徹底されているから、こういうグラフになります。全部徹底されれば、もう少し上の方に寄るんですけれどもね。

それにしても、これの添削をしながら不安になりました。「ぜんぜん、設問を読めてないよね」って。まぁ、最悪、「設問を読めない」なんてことは、SFCの合否に関わる程度のささいなことです。でも、多くの人がしているミスは、

・小説や漫画を読んでも感情移入できない
・人の気持ちが読み取れない
・主体的に関わろうとしない

そういうタイプのミスです。SFC小論文は「相手の立場に立つ力」が高いとうまくいく問題が多いです。ぜひ、相手の立場にたってみてくださいね。

重要!!【添削】0.02秒様 環境情報学部・2015年

問1
A自転車よ発展の歴史ー大衆化に向けての安全性、運転性能の向上
B未完成なインターネットの未来ーみんなのためのインターネットになるために目指すこと
C集積回路と半導体のテロ構造ーより大きな増幅、高い周波数および電力を達成する方法
D冗談から始まった先駆的な発明ー適切で便利で持続する自己再生産機械
Eクリエイティブリユースの大きな循環ー工夫を楽しみながらつつましく心豊かに生きることこそ私たちの目指す方向
F冷凍技術の社会的成果ーフロンによって破壊される冷凍食品、破壊される地球
Gデジタル革命における公開暗号の利用ー現代生活の不可欠な要素
H IT化を活かした村の起業家発掘ー農耕社会の労働者への企業委託

問2
私が重要だと思う課題領域は地方の不便さに伴って起こった都市への人口流出についてだ。戦後、日本は経済的発展を遂げたがその背景に企業や人口の都市集中が挙げられる。しかし、地方から都市への人や企業の流入は地方の働き手や雇用が不足する上に都市には若い働き手がいて地方には比較的年齢が高い人がいるようになる。これにより、地方は活力を失い、逆に都市は若い人たち中心に活力を得る。以上の問題をふまえ、人がいない現場の作業を機械やロボットなどの補助でサポートしてあげたり、人々が生活の中で必須な移動手段や配送技術のインフラが整備された暮らしやすい地方を作り、もう一度地方を元気にする必要がある。

問3(1)

私自身が重要だと思う課題領域である都市への人口流出に対して、いかにして暮らしやすく、暮らしてみたい地方を作るかについて考え、取り組んできました。地方はこれからも高齢化が進むでしょう。それに対して、便利でかつ高齢の方々が安心して住める町づくりが大切だと考えています。その上でコモビリティー社会の創生を自治体と共同で進めていく必要があると思い、これまで取り組んできました。

問3(2)
地方は30年前、移動手段の不足によって深刻な事態が起こっていた。高齢者が多い地方では、遠くまで移動することができる人ばかりでない。そのことが地方の買い物難民を生むことになった。
私は30年前、この買い物難民などを含んだ地方の不便な問題に対して取り組んだ。
地方では都会に比べ、バス、電車などの移動手段が少ない上に1日に数回しか来なかったりする。移動手段以外にも医師の不足による医療環境の悪さ、緊急時におけるインフラの整備が都会に比べ悪かったりする上、働き口の少なさゆえの若者の人口流出によりさらなる高齢化問題が生じた。やはり都会のが暮らしやすいと私たちは考えがちだ。しかしこのまま人口や企業の都市集中が進むと地方から人がいなくなり町自体の存続自体が怪しくなる。
これからの地方は、暮らしやすさが求められる。
私が考えているのは、地方の「コモビリティー社会の創生」である。コモビリティー社会とはコモビリティー科学を用いて現実空間と情報空間の長所を生かした複合型コミュニティーを醸成することで実現する。人々が活力をもってくらせ、環境にも配慮した近未来的な社会である。私は、実際に町と共同でコモビリティー社会の創生に向けて活動してきた。具体的にはドローンでの宅配サービス、無人タクシーや医師の遠隔操作による医療行為、要はモビリティーを重点においた研究である。
そして、それを行う上でさまざまな壁にぶつかってきた。ドローンは試用当初は人や動物との接触事故が起こった。無人タクシーに関しては、自動運転機能を生かして人が目的地を入力してそこに向かうのだが、その最中に友人の車と衝突するような事故が起こった。医療行為に関しては医療ミスをした時にどのように対応するのかが問われた。私はこれに対応すべく、ドローンの安全性の向上を企業と共に努め、事故率は格段に減らし運用された。無人タクシーもドローン同様、安全性を上げ、更に町全体を自動運転機能がついた乗り物にすべく、国が補助金を提供し、解決の方向に向かっている。そして、医療問題に関しては、手術支援システムなどの支援システムの開発により通常手術と同程度の安全性を確保した。
うーん。

『コモビリティ』って言葉を使いたかっただけちゃうん?

この問題は「あなたがSFCに入学してからやりたいこと」を中心に書いた方がやりやすい、とは思います。このテーマが果たしてそうなのかは不明。もし、これが0.02秒さんがやりたいことなのであれば、ちょっと考え方が足りないか、と。ORFかホームページで見ただけなんじゃないの?なんてね。

「便利ってなぁに?」ということについて、どう考えているのかが見えません。結局解決したい問題は「人口流出なの?」「残された人の生活なの?」もう少し言い換えましょうか。わざと言葉を汚くいいますね。

残ったジジババが文句いわねぇ地方を作っときゃ文句言わねえだろ?

と考えてませんか?

「買い物難民」はいやだ(すぐに買い物に行けた方がいいよね。そりゃ。)し、「暮らしやすさ」があった方がいいでしょう。でも、そんなのは「お金がたくさんあればうれしい」に近いんですよ。それは「価値」とは呼びません。同じように「不便でなくなること」が「問題解決」とはSFCでは呼ばないんですよ。

このジジババ共の幸せって何ですか?本当に、買い物がしやすいことですか?移動がしやすいことですか?地方でも高度な医療が受けられることですか?これって単純に「不便じゃない状態」を作っているだけで、ジジィババァの幸せにダイレクトに影響していますか?

この状態を作れば、ジジィババァは幸せですか?本気であなたは地方に住むジジィババァの幸せを考えた結果が、この答案ですか?

いつも常に言っているのですが、SFCの問題発見・解決というのは「問題発見」が全てです。そして問題発見を支えるのは「価値観」です。あなたは「買い物がしやすくて、医療がよくて、移動もしやすい地方」がいいと考えるのですか?それはもはや「地方」ではなくて、「都市の地方への拡大」に過ぎません。地方の問題発見といいながら、地方というくくりを都市の価値観で物差しをあてて「ほら、これが問題解決だよ。これがいい世界だよ。」とやってるに過ぎません。なぜジジィババァは地方に住み続けているのですか?やむを得ないだけかもしれませんけどね。都会に出たい出たいと思ってるジジィババァだけならそれでいいかもしれない。だけど、「地方」に住み続けているジジィババァに都会の物差しを当てるだけでいいですか?

もちろん、私に確固としたアイデアがあるわけではないです。でもね。例えば、「おじいちゃんおばあちゃん」が好きなことって何だろう、と思ったら「孫」だよね、という当たり前のことを思いつきます。「孫」と離れていることはさみしいし、「孫」とのコミュニケーションは間違いなく「おじいちゃんおばあちゃん」の幸せといっていいよね。よし、孫がおじちゃんにリモコンをとってあげるしくみを作ろう。ドローンで。わたしはこんなものでいいと思うんです。逆もできるよね。おじいちゃんが孫にお菓子をとってきてあげたり。とってくるものは、リモコンみたいなちっさなもので、配達システムほど大きなものを運ばないかもしれない。だけど、孫の命令で動くドローン、と、効率的な動きをするドローン。どちらが何の問題を解決していますか。「おじいちゃんリモコンとってあげるドローン」しょぼいよ。しょぼいさ。私の発想だもの。そりゃ町内をカバーする「配送システム」を作った方が規模は大きいさ。でもね、この両者にある差を理解できないならば、SFCなんか来ずに理工学部にでもいきゃあいいんですよ。そこにある「差」こそ「問題」であり、「問題発見」なんです。それをわかるひとを探そうとするのがSFC小論文だから、普通の小論文対策がSFCでは通用しないんですよ。似たようなことを資料文の中では「モノ」と「コト」で表現しているので、それは読んでみて下さいね。

文章自体は、そこそこ読めるのでこの感じで大丈夫だと思います。強いて言えば、テーマを「人口流出」とするよりは「地方の流通システム」にした方が一貫性があってわかりやすいと思います。発想の過程がそのまま文章になっただけだと思うけどね。

それでは。

おまけ:不便益システム研究所

不便益システム研究所という研究所があります。名前は「あれ」ですが、れっきとした京大の研究所(企画ものに近いですけどね)です。

ちょっとここのホームページを見に行ってみて下さい。「便利」とは何か、「不便」とは何か、ちょっと頭を混乱させてみてくださいね。それでは。

カスれるナビ」なんて面白いですよね。よく走る道ほど、地図が擦れてみなくなるんだよ。不便じゃん。だけど、よく通る道ほどしっかり覚える。自分の頭で覚える。そうやって地図がなくなることで、自分の道が頭の中に出来て行くんです。どちらが「情報技術」ですか?どちらが、「問題を解決」していますか?問題って何ですか?

追加:超重要

コメントをいただきましたので、こちらに関して補足します。
発想についてはORFで見たものを使っても良いと、ORFでお話しした教授がおっしゃられていました。もちろん、論理的整合性がキチンと出来上がっていなければいけませんが。
ORFで見たアイデアや発想を使うことは、全くもって問題ありません。

但し、それは、SFC小論文は「ORFで見たツールについて、設問に合うように答案に書けば受かる」という意味ではありません。私は「そんなことはない」と考えています。転じると、とりあえず答案にITやパターンランゲージについて書けば受かる、ということですから。

あくまで「問題発見・解決に対する適性があること」を確認するのが、SFC小論文である、というのがこのブログの立場です(なぜそう言えるのかはブログ内を読んでみてください。)サイエンス・デザイン・テクノロジーは所詮「ツール」に過ぎません。ツールをつかえば「なんとなくよくすること」は可能です。例えば、情報技術(IT)を使えば、手に入る情報を格段に増やすことができ、効率的な意思決定が出来るでしょう。けれども、それが「問題の解決につながるかどうか」というのは、(「効率的であるか」すら)、「問題「発見」(あるいは設定)」してみてはじめてわかることです。
SFCは問題発見解決がスローガン。問題「発見」という部分が大切で、何が問題なのかを特定できたら、たいていの問題の解決は近いのです。ちなみに、そもそも「問題」ってなんだろう?なんて問いに答えられる?國領教授のTwitterより引用
ORFなどで学んだ知識についても、きちんと問題「発見」(あるいは設定)をしないまま、小論文に書いたとしたら、それは合格点に達しない答案になると思っています。

北朝鮮の核保有問題などと書けば、それはあたかも「問題」のように見えますが、実際には「北朝鮮が核を保有していること」について、「北朝鮮以外の国」や「日本」の視点から論じているからこそ、「問題」と思えるのです。これが「北朝鮮」の立場に立てば、自国を優位にするための「解決策」なのです(2007年総合政策学部の資料文と全く同じですね。)同じ事象を見たとしても、視座をどこに置くかによって、それが「問題」なのか「解決策」なのか、は異なります。

「北朝鮮が核を保有している」を「ドローンを配達に使う」にそのまま置き換えてみましょう。「ドローンを配達に使う」ということに対して「便利だね。よかったね。」というということは、「北朝鮮が核を保有している」ことは「危険な核保有問題だ」と主張することと全く同じです。この間では、問題の視座の設定が行われていません。「北朝鮮が核を保有している」ことは視座を「日本」(あるいは北朝鮮以外の他国)に置いてはじめて「危険な核保有問題だ」と「問題視」できるのです。これと同様に「ドローンを配達に使う」を「便利だね。よかったね。」というためには、「日本に視座を置く」「北朝鮮に視座を置く」に似た頭の働きをさせて、「○○という視座」から考えると、「ドローンを配達に使う」は「解決策」となる、と先に問題を発見(設定)する必要がある、と言っているのです。

この0.02秒様の元の答案において「暮らしやすさ」とおいた視座は、本当に「地方の人の立場に立って考えたもの」なのか、というのは「答案」を見ると、そう思っているようには読めません(「一番の理想状態は地方にいる高齢者を都会に移住させること」という視座に立っているように見える。明記はされていないですけれどもね。)。むしろ、この答案は「SFCで使っているツール(この場合は、コモビリティ概念)を使って適当に書いた答案」に読めるのです。「暮らしやすさ」の掘り下げが足りないから、適当に思いついた問題らしきものに「コモビリティ」をあてはめただけに思えるのです。それでは、合格点はコンスタントには望めない、いくら論理的にきれいに答えを書いたとしても、「問題発見(設定)」について設問に合わせて書かれていなければ、SFC小論文の点数は低くなってしまい、合格はおぼつかない、と私は考えています。

昼間に0.02秒さんとTwitterで「同じ電車の車両の中でも、空いている箇所と混んでいる箇所に偏りがあるので、それをITを使って可視化すればいい」というアイデアについて話していました。これは一見ITを駆使しているよい解決策のように思えます。けれども、ITを使って「可視化」すれば、人は車両の奥に詰めてくれるのか、あやしいですよね。車両の中でドローンを動かして上空から混んでいるところと空いているところを調べても同じですよね。きっといろんな理由があって、あまり人は電車の車両の奥に入りたくないと思っているのでしょう(問題の「設定」)。このように、まず先に「問題」を明確化してあげます(目的や価値観の設定、ある特定の立場に立つ等して。この場合は「電車に乗った人の立場に立って、その人は「あまり奥に行きたくない」と考えている」と置きます)。その後に、解決策やツールを考えてあげればいいのです。

私が冗談で出した解決策は

車両の奥に行くほど、やらしい中吊り広告になっていて、男性はそれに吸い寄せられる

その「実効性」はさておき(女性はそっちにいかないしね)、「問題を設定して、それを解決しよう」という「問題中心」の考え方を行う必要があると思っています。ツール中心ではなく、ね。これとほぼ同じような話を、「2013年の環境情報学の創造」でもしていますので、よろしければ見てみて下さいね。

それでは。

【添削】ランド様・環境情報学部・2015年

雑感としては、こぎれいにまとまりすぎている、というか、さすがに独自感がない、というか。独自発明の設定で100点ぐらいマイナスで、最低点に届かないと思います。
環境情報 2015年

問1
A自転車の荷台
移動手段から運搬手段へ

B共有を可能にするインターネット
これからの未来を創る道具

C集積回路の誕生と発展
幅広い分野での活躍

D3Dプリンターの自己生産性
人類の知識総体へのアクセス

Eクリエイティブリユースの発想
リサイクルに楽しみを見出す

F冷蔵庫の家庭への普及
予想できなかったオゾン層への影響

G公開鍵暗号の発見
現在のデジタル世界への貢献

H情報技術による行政サービスの電子化
農村社会の経営の発展

問2
「課題領域」・環境保護

「未解決の具体的な問題」・自動車やバイクによる排気ガスがもたらす温暖化。

問3-1
 地球温暖化を抑制するためには排気ガスの排出量を減らすべきだという考えにおいて、車やバイクの排気ガスは解決すべき問題であった。私は人々が自転車に乗る機会を増やすべきだと考えた。そのために、私は電動アシスト自転車の性能の発展とそれを利用する環境を整えることに、これまで努めてきた。

問3-2
 私は初めに電動アシスト自転車の性能を上げることを目指した。なぜなら、人々が車やバイクを短距離の移動でも使用してしまう理由として、「自転車は疲れる」や「車のほうが速い」といった意見考えられたからである。例えば、高齢者や女性にとっては買い物の荷物を自転車で運ぶのもつらいと感じる人もいるだろう。したがって、彼らは買い物に車やバイクを選択せざるを得ない。私はその改善に小型ながらも強力なパワーを備えた電動アシスト自転車用のバッテリーを考えた。もちろん小型にした分バッテリーの電気蓄積量は少なくなってしまう。しかし、今回の問題においては、短距離の移動に焦点を当てている。買い物の往復の範囲なら高いアシスト能力を維持することが可能だった。
 私は次に、電動アシスト自転車を利用できる環境を整えることが問題の解決につながると考えた。30年前は、電動アシスト自転車は高価なものであり、簡単に購入できるものではなかった。したがって、自転車の性能を上げただけでは、利用者の増加はあまり見られなかった。そこで私はマンションなどの集合住宅などに電動アシスト自転車ステーションを設置することを提案した。これらは、市や国の補助金や住居者から集金して作られた。電動自転車を共有物としたことで維持費も一人当たりの負担も減らすことができた。
 しかしながら、電動アシスト自転車の数が足りないという意見が住民から聞こえ始めた。 その原因は、住民が使用する時間帯や曜日は自然と重なってしまうということであった。例えば、夕方の時間は買い物での使用者が増え使いたくても使えないという事態が多くみられた。ただ、単純に台数を多くするだけでは、使用されないときの台数も増え、効率的とは言えなかった。そこで、電動アシスト自転車の利用に予約制を取り入れることにした。また、通信機器を利用することで、自宅からでも予約が行えるようにした。
問1は例によって割愛。どうせ配点は低いので。

問2も飛ばして、問3から。他の方の答案もそうなのですが、2015年の答案は全般的に面白みが少ない気がします。設問の指定が多過ぎて、うまく書きづらいのかもしれませんが、設問をしっかり活用すれば、それなりに書きやすいとは思うので。Twitterではこんな感じのことをつぶやきました。
2015年環境情報の小論文は大学としては、資料文にあるような開発秘話みたいなのを期待して作られた問題なんだとは思うんですが、設問指定が細か過ぎて、ちょっと想定通りには書かれない気がします。


さて、
設問3ー1 まず、講演の告知文を考えます。あなたが取り組んできた問題と、独自に生み出した発明や創造との関係を、わかりやすく、かつ魅力的に告知する文を考え、140字以内で記述してください。
という設問なので、「独自に生み出した発明や創造」であることをもう少しアピールしてほしいと思います。さすがに電動アシスト自転車はもうあるので。

(これが新しいかどうかはともかくとして)電動アシスト自転車ステーションが「独自」の創造であるとするならば、そこを強調しましょう。
問3-1
 地球温暖化を抑制するためには排気ガスの排出量を減らすべきだという考えにおいて、車やバイクの排気ガスは解決すべき問題であった。私は人々が自転車に乗る機会を増やすべきだと考えた。そのために、私は電動アシスト自転車の性能の発展とそれを利用する環境を整えることに、これまで努めてきた。
この告知文が魅力的か、というのも、ちょっと気にはなります。

全般的に「なぜおもしろくないか」というと、あなたの「問題発見・解決」をしていないから、「独自性」がない、んだと思うんですよね。

・環境問題を解決しよう
・排ガス問題
・よし自転車を活用しよう
・みんな楽なのを使うよね
・電動アシスト自転車だ

ぐらいで。別に既存の技術じゃなくてもいいので「タケコプター」とかでもいいわけですよね?それなのに、なぜ「電動アシスト自転車」なのか、というのは疑問です。

話を元に戻します。SFCの問題発見であれば、まず「解決したい問題事象」とそれに伴う「自分の価値観」があるわけです。「地球温暖化を抑制するためには排気ガスの排出量を減らすべき」というのが、この小論文において、しっかりと価値観として提示されていないので、「本当にこの問題を解決したいの?」と思っちゃうのです。

「なぜ地球温暖化を抑制したいの?」とかね。仮に「排ガス」を規制するために、車やバイクを使わない、を選んだとしても、「お買い物ロボット」や「コナンくんの持ってるスケボー(太陽電池!!)」でもいいわけです。それなのに「電動自転車」を選んだところにも、書き手の顔が見えません。とりあえず、それっぽいものを時間に間に合わせるように書いたぐらいに見えてしまう。

強いて言えば、「ステーション」部分に独自性を見いだす(まぁ、それっぽいのは世の中にあるんですけどね)ことができるぐらいでしょうか。(あとまぁ、電気を使うなら、排ガスはないにしても、化石燃料を使うので二酸化炭素増えるよね、というツッコミもできなくはありません。)

ということで、もう少し独自性(というよりも、何が問題化をもう一度深く考えてみることかな)を発揮してみてください。結局自分は何の問題を解決したかったのか、ね。

追加質問:独自性=発想力?

やはり独自性=発想力という解釈になりますか?
追加でご質問をいただいたので。文章は「書くべき内容」を思いつくという点ですべからく発想力が必要になります。これは事実。

但し、上で書いているのは、「どこがあなたが『独自だ!!』と思っているのかが分からない」ということです。独自性があると主張する以上、どこがあなたの独自性のある部分です、と明確に言えなければなりません。「んー?この変かな?」ぐらいではダメです。「ここです!」と言い切れないと。

つまり、
「独自に生み出した発明や創造」であることをもう少しアピールしてほしい
というのは、どこが自分が独自に生み出した、と自分で主張したい部分なのかを明確にして、それが読み手に伝わるように書いてほしい、ということです。その意味で、上の解説内でも「「ステーション」部分に独自性を見いだす」と書かせていただきました。それが本当に独自性があるかどうかは別として「ステーションを作る、というのが俺の独自性だぜ」とアピールしてほしいんです。言い換えると、答案を読んでも「どこが私の新しく考えた独自の部分なのか」というのが伝わってこないのです。Iphone6 plusが出た時に、Appleは「この大画面が俺たち独自のものだ!」と主張しました。多くの人たちが、「とっくにサムソンで出てるじゃん!」とつっこんだ、と思います。それでもAppleは「この大画面はサムソンさんが先駆者で俺たちはそれを真似したぜ。」なんて言わずに、「ほら、新しいでしょ?使ってみなよ」と言い続けましたよね。独自性なんてそんなもんです(笑)。

そこが前半。だから、この点で言えば、「独自性をアピールすること≒新規性をアピールすること」です。

2点目。
全般的に「なぜおもしろくないか」というと、あなたの「問題発見・解決」をしていないから、「独自性」がない、んだと思うんですよね。
と書いた部分。

端的に言えば、「あなた、SFCに入って電動アシスト自動車を開発したい、なんて思ってないでしょ?」っていう話です。(思っていたらごめんなさい。)

加えて言えば、誤解を呼ぶ表現にはなりますが、「個性のある答案」ということです。言い換えると、名前を伏せて、あなたの書いた小論文を友人に見せて、「○○の書いた小論文だ!」と分かる小論文を書くべきだ、ということです。2013年環境情報学部(身体知)の小論文で「ペン回し」について書いた人がいました。この人は、ペン回しにすごく興味があり、ペン回しがうまかった。だから、自分の得意なペン回しについて書いたのです。こういう答案はその人の「個性」が見えます。ペン回しは新しいものではありません。たぶん50年前の学生でもやっていたでしょう。でも、その答案を書いた人にとっては、その人を象徴するような心の大きな部分を占めることのひとつです。

自分がSFCに入学してから「解決したい問題」を強く持っていれば、その部分に個性=独自性が出るはずです。それは、発想力ではなく、ふだんから「合格したらどんな勉強(SFCで言えば問題発見・解決)をしたい」と意識して考えている」ということを意味します。解決策はとっぴなものでもいいのです。この問題の場合、あなたは既に問題を解決する方法を考えついているのだから。あるいは解決策は普通のものでもいいのでし。あなたがその問題を強く解決したいと願っているのであれば。そこに独自性が存在します。

この点で言えば、「独自性≒個性」です。

(個人的には安易に「独自性=発想力」と考えるのは危険だと思っています。あたかも「本当に新しいもの」を思いつく力のように思ってしまうからです。)

以上2点から「独自性」が足りない、という風に表現しています。

それでは。

【添削】首領(ドン)様 環境情報学部・2015年

環境情報学部2015年小論文の添削について
夜分遅くに失礼致します。首領(ドン)と申します。
2015年環境情報学部の小論文の添削をしていただきたいので、この度投稿させていただきます。厳しい指導、宜しくお願い致します。
それと、投稿する上で一点質問があります。設問3②で図を挿入したのですが、図の送付方法が分かりません。この場合はどうすればよいでしょうか?
図はフリーの掲示板を用いるか、Twitterで送ってくれる人がいました。

なくても、だいたい分かるので、よいです。ちなみに寝てたらコメントついても起きないので気にしないでいただいて大丈夫ですよ。
[設問1]

(M…メインタイトル、S…サブタイトル)
【A】
M:自転車進化の歴史について
S:移動手段として市民に普及していくまで
【B】
M:インターネットが人と社会を繋ぐ
S:誰でもどこでも使えるようにする工夫
【C】
M:応用物理学が貢献してきた技術開発
S:宇宙レベルから生活に関わるものまで
【D】
M:夢を現実にしてくれる先駆的な発明
S:何でも作れる3Dプリンタ
【E】
M:リサイクルを超えるクリエイティブリユース
S:エコロジーかつよりアーティスティックに
【F】
M:冷凍技術がもたらした食文化の発達と環境破壊
S:フロンが持つ利便性と穴
【G】
M:現代生活に必要不可欠な鍵暗号
S:公開鍵暗号が実用化されるまでの紆余曲折
【H】
M:僻地を変える情報技術と経営
S:受け継がれる起業家精神


[設問2]
【課題領域】
一方的な自然の搾取による食糧・環境問題の悪化

【未解決の具体的な問題】
人間の文化活動が原因となって、本来の環境システムが崩れ、地球上の至る場所で環境の変化が起こっている。特に植物や樹木の減少による地球温暖化や砂漠化が悪化している。この問題によって困るのは地球だけでなく私達人間も多大な影響を受ける。例を挙げると、砂漠化や気候変動によって農作物が獲れにくくなり、地域によっては食糧不足の問題も起こりうるだろう。このような問題を解決するためには、人間が自然の搾取を上手く節制してコントロールするか、失われてきた自然を人間が元に戻していく必要がある。


[設問3①]
SFC在学中から約30年間、私は食糧・環境問題を解決するために、失われた自然を元に戻していく手助けをする「3Dシードプリンタ」という装置の開発・研究をしてきました。3Dシードプリンタって何?どうやって使うの?どんな効果があるの?などの疑問を、講義を通して紐解いていきたいと思います。


[設問3②]
私は今回の講義で、私自身が今まで開発・研究してきた「3Dシードプリンタ」と及びそのシステムについて説明する。「3Dシードプリンタ」とは、文字通り植物の種を印刷する3Dプリンタである。この機械は、食糧問題や環境問題といった大規模な問題を解決するために発明されたものである。
「3Dシードプリンタ」は、機械が読み込んだ植物のゲノム情報から、植物由来の材料を用いて再合成して、種を生成するというものである。大まかな概要は下部の図を参照していただきたい。
〈図を挿入(100字相当・別途画像送付)〉
情報会社から人間に害を与えないかつ成長速度の速い植物のゲノムデータを購入し、「3Dシードプリンタ」内に取り込んだ材料を元に種を合成するというシステムであるが、このシステムは従来の問題解決方法にはない利点が存在する。まず、純粋な問題解決能力が高い。成長が速く乾燥にも耐える種を大量に印刷できるため、森林減少が原因で深刻化でしている地球温暖化や砂漠化、貧困国の食糧問題を改善することを可能にした。2つ目に、植物由来の材料であればどのようなものからでも再合成可能である。つまり、枯れ葉などのどこにでもあるものから種を再合成できるのである。
このシステムを実現する上で、私は1つのグループを作り、幾つかの問題解決班に分けて計画を進めた。解決すべき課題に、技術的問題と法整備の問題があったが、技術的問題は15年前に精密な合成技術を開発したため解決した。また、法整備においては臨床実験を経て安全性が確認されたもののみに限定することで解決した。
世に出てから10年間、初めは貧困国や建設会社などの業務用機械として用いられ、今では日本でも農作物の不作時などに使用されるようになった。輸送時にもかさばらない植物の種を印刷するという画期的な技術は瞬く間に世に広がったが、それでもまだ解決すべき問題は多く残っている。今度は君達が問題解決のための発明を考える番である。是非とも自分なりの意識を持って、好きなように研究に打ち込んでもらえれば幸いである。
合格最低点ぎりぎり。もしくは、届かず。という感じだと思います。

予備校などだと割と評価されそうな小論文だとは思ってはいます。「で、これって遺伝子組み換え食品(品種)と何が違うの?」という質問と、「どうして3Dプリンタにしたの?」という質問に的確に答えられたら、アイデアとしては「あり」だとは思います。(私には「とりあえず3Dプリンタという言葉をつかっておけばOK」という答案にも思えてしまいます。他のバイオ技術でも置き換え可能なので。)

このへんのメインのアイデア部分で200点中40点ぐらい減点。

あとは、細かいところで「ん?」と思うところが多いので、大筋は納得するもののちょっと読むペースが落ちます。
人間の文化活動が原因となって、本来の環境システムが崩れ、地球上の至る場所で環境の変化が起こっている。
なぜ文化活動のみに限っているのか。
特に植物や樹木の減少による地球温暖化や砂漠化が悪化している。この問題によって困るのは地球だけでなく私達人間も多大な影響を受ける。
地球って、何か困ってるんだっけ?突然、地球が擬人化されていて不思議。「植物にとって住みづらくなっている」という点で植物に害がある、と書く方が正しい。
例を挙げると、砂漠化や気候変動によって農作物が獲れにくくなり、地域によっては食糧不足の問題も起こりうるだろう。このような問題を解決するためには、人間が自然の搾取を上手く節制してコントロールするか、失われてきた自然を人間が元に戻していく必要がある。
「自然の搾取」って自然は何を搾取したのかが不明。上では「地球」を被害者扱いしながら、ここでは突然加害者扱いされてるのが変。

こういう部分が割と多いので、そのへんで全体で20点ぐらいひかれてもおかしくはないと思います。

言葉足らずな部分も目につきます。
このシステムを実現する上で、私は1つのグループを作り、幾つかの問題解決班に分けて計画を進めた。解決すべき課題に、技術的問題と法整備の問題があったが、技術的問題は15年前に精密な合成技術を開発したため解決した。また、法整備においては臨床実験を経て安全性が確認されたもののみに限定することで解決した。
「法整備」と「安全性」の関係がわかりません。なぜ技術の問題にしなかったのか?
初めは貧困国や建設会社などの業務用機械として用いられ、今では日本でも農作物の不作時などに使用されるようになった。
農作物の「不作時」にどうやって使うのか。なぜ「不作時」に限定するのか、普段から使えばいいじゃん。とかね。

こういうところも全般的に「隙」が見えてしまうのです。1つや2つの「隙」はいいのですが、上の部分も合わせて「ツッコミどころ満載」なのは、どうしても減点要素になります。この辺でも20点ぐらい引かれてもおかしくはないです。

あとは、この問題を解く時の「コツ」ですが、「この講演を聴いてSFCに入学したいか」と思いながら書いた方がいいと思います。
「システムを実現する上で、私は1つのグループを作り、幾つかの問題解決班に分けて計画を進めた。」
とかこの講演を聴いていておもしろいと思いますか?
あなたは、SFC在学中から約30年のあいだに、出会った仲間と連携しながら、独自の視点で問題を発見・提起し、最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインを学んで斬新な解決策を着想・実装し、その成果を広く社会に展開してきました。そして、別の新しい問題が立ちはだかったとしても、仲間と一緒に知恵を出し合えば、必ず解決できるという自信に満ち溢れて過ごしています。
という前提なのですから、「技術で解決したよ」や「考えたから解決したよ」ではないところをアピールした方がいいと思います。

プロジェクト内で「コーヒーの香りからヒントを得た」とか「同じ研究仲間とのコーヒーブレイクのときに、ふと思いついた」とか、そういう「ひととなり」が分かるようなものを増やすとか、ぶつかった壁の乗り越え方をもっと工夫した方がいい小論文になると思います。(単純にいま、私がコーヒーを飲んでるだけですが。)

わたしなら

もし、私が同じ3Dプリンタで種を作るというアイデアを思いついたら、各農家1軒1軒に合わせた種を作る(周辺の土壌に合わせた、とかね。A村とB村で同じ種を使う必要は別にないので。)とか、フランス料理レストラン○○のバーニャカウダ専用のにんじんの種など、個別のお客に合わせた種を作るアイデアにすると思います。

ご提案いただいているアイデアでは所詮「大量生産」の枠組みを超えないので、どうやってもいずれ3Dプリンタではなく「専用の工場」を作った方がいい場面が絶対に出てきます。だから、私が作るなら、○○に合わせた「種」を作る、という問題解決にすると思います。

それでは。

環境情報学部2015年の小論文についてのご質問

2015年環境情報学部の小論文(講演の告知)について、
取り上げる問題は資料に関係なくてもよいのだから
自分であらかじめ書く問題を
考えて、それについて書く方法は有効ですか?
という質問をいただきました。(管理者のみ閲覧可ですが、問題なしと考えほとんど修正せずに開示します。)

結論から申し上げると「有効」です。

さらにいえば、俗に「アイデア型」と呼ばれる小論文に対して、いくつか自分のアイデアを準備しておくことは立派な対策になります。但し、「書く内容」は、必ず設問で要求されている内容を含めながら書いてください。準備してきた原稿を丸写しするだけで合格するのは難しいです。

試験本番で「すごくいいアイデア」を思いつくのは困難なので、予め「そこそこ行けるアイデア」準備しておいて、応用が効くように使い回すのは極めて王道の対策法です。

但し、必ず「SFC小論文は、入学志望者の適性を確認する試験である」という考えを持って、自分の答案がひとりよがりなアイデア重視の答案になっておらず、適性を示しているかどうかを確認してください。

それでは。

環境情報学部2015年 速報(追記)

予備校の解答が概ね出そろいましたね。各社大きく変わらない、という感じです。(河合塾の総合政策問1と問3を関係付けない姿勢は潔いと思うものの、今年の設問ではさすがにダメでしょ?という気がします。)ツイッターで質問されたことや予備校の書いた答案の雑感などを交えて。

図の使用について

図の不使用=即不合格 or 減点ではない。
[図を使用した方がよい場合]
 ・比喩や説明を用いるよりも、読み手にイメージが伝わりやすい場合
 ・複雑な相互関係を示す場合

今年は「図」を使用してよいという指定があったので混乱された方が多いと思います。
なお100字相当分以内であれば、説明の補助のために絵や図を加えることもできます。解答欄に、たとえば10×10や12×8のように領域を区切って、そのなかに記入してください。絵や図を使用するかしないかは、あなたが決められます。
2015年 環境情報学部 小論文設問より
とありますので、「絵や図の使用」については、書き手に委ねられています。だから、速報でも書いたように、図や絵がない場合に「即減点」「即不合格」ではないでしょう。

絵や図を描くメリット

もちろん「絵や図」を用いるメリットはあります。駅から自宅への道を説明する場合がそうですよね。「駅の○○口を出て、右手にある郵便局の角を左に曲がって...」と説明するよりも、地図を描いた方がわかりやすいです。「次世代ドローン」の説明として「空飛ぶipad」と説明するよりも、実際に絵を描いた方が分かりやすいでしょう。このように「読み手にイメージを喚起しやすい絵」は描く意味があります。

また「複雑な相互関係」を示すのにも図は有効です。複雑とは言っても「三権分立」程度の考え方ですら、模式図、モデル、システム図を描いた方が伝えやすいです。言葉は直線上な内容を伝えるのには向いているのですが、相互関係を示す場合は、関係する内容が増えれば増えるほど、内容が複雑になり、伝わりにくくなります。だから、「複雑な相互関係」を示す場合には「図」があった方がわかりやすいのです。社会問題になると、直線的な関係であることはほとんどありえませんので、「図」があることが読み手の手助けになるのです。

余談ですが、この二分類のうち、前者を「絵」と呼び、後者を「図」と呼ぶことが多いです。あくまで「呼ぶ傾向がある」程度ですけれどもね。

イメージを伝える際の文章のメリット

とはいえ、文章のメリットもあります。それは読み手に自由にイメージさせることができることです。ビブリア古書堂の事件手帖の栞子さんを剛力彩芽さんが担当するのは私は大いに反対でした。今でも反対です。ドラマ自体見てもいません。腹立たしいから。とはいえ、自分の知っている範囲で栞子さんの役を出来る女優さんも思いつきません。(仲間由紀恵さんをもう少し不幸にしたイメージ)。文章は「世界一の美女」を容易に表現できますが、絵や図は決して「世界一の美女」を表現できません。誰を選んだところで、どんな絵を描いたところで、どこからかは絶対に「そんな人は世界一ではない!」とツッコミを受けることでしょう。もちろん、その絵や図を大絶賛する人もいるのと同時に。逆に、文章は「幅」があるために、読み手のイメージをコントロールすることができます。

だから「絵や図」が即「イメージのしやすさ」に直結するわけでもありません。分かりにくいイメージや合わないイメージを喚起することもあります。その場合「文章」に優位性がありますね。他には読み手の視点を誘導できる(文章上、相手の目から描き始めることで、読み手も同じように「目」からイメージしはじめる。)とか色々ありますが、そこまで来るとレトリックの世界になってしまうのでこのあたりで留めておきます。

絵や図はあくまで「わかりやすさ」に有効

実際の試験の採点がどうなっているのかは当然分かりませんが、設問で指定されない限り「絵や図」は文章の「例」や「比喩」と同じで、書き手の言いたいことを伝えるためのツール・手段に過ぎません。だから「適切な例を選んだか」「適切な比喩を選んだか」「適切な絵や図を選んだか」ということが重要になります。そもそも「適切な例・比喩・絵、図を選んだか」という採点基準がない可能性も十分にあります。けれども、読み手である採点者が内容を読んで、頭の中でわかりにくかったところを「絵」や「図」が補間していれば、採点者は書き手の伝えたいことが「分かり」相対的に有利になることはあると思います。だから短絡的に「絵や図」の「有無」そのものを合否や減点と結びつける必要はないと考えています。

語尾について

語尾の「です」「ます」については今年は「気にしなくてOK」でしょう。

今年は「告知文」と「講演文」を執筆することが明確です。「告知文」と「講演文」に対しては、「ですます」ではなく「である」にしなければいけないというルールはありませんので、「ですます」で書いたところで何の問題もありません。

告知文:二代目さかなクンである私は、世界の魚を守るぞギョギョギョ!(っぽい告知文)
講演文:全ての文章の語尾に「ギョ」「ギョギョ」「ギョギョギョ」をつける。

であっても、減点は全くされずに内容は読んでもらえるでしょう。とはいえ、さかなクンさん自体も、文章上全ての言葉に「ギョ」をつけているわけではないですし。あくまで「読み手の読みやすさを考えて効果的に語尾を使う」のでいいと思います。キャラ作りのために、名古屋風に「みゃーみゃー」書いたり、大阪風に「でんがなまんがな」書いたりするのは「あり」でしょうし、それで減点されることはないと思います(責任は持ちませんが)。

一点気にすべきは、日本語は語尾で文章の意味を規定する文章である、ということです。(「風たちぬ」と「風たたぬ」の「ぬ」の違いがつい最近ツイッターで出てました。)だから、読み手も「語尾」を意識して読みます。「ですます調」は語尾が、「ですます」と単調になり、着目すべき「語尾」が若干わかりづらくなります。その「分かりやすさ」を犠牲にして、丁寧さをプラスする「ですます」を足しているのです。だから同じ文章量であれば、「ですます」の方が「丁寧さ」の意味は足されますが、文章自体の意味内容の分量は減ります。そこまですごく気にすることでもないですけれどもね。たまに、「ですます」が丁寧すぎて、結局何が言いたいのか分からない読みづらい文章はありますね。

「仲間」について

あまり予備校の答案では触れられていなかったので。
あなたは、SFC在学中から約30年のあいだに、出会った仲間と連携しながら、独自の視点で問題を発見・提起し、最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインを学んで斬新な解決策を着想・実装し、その成果を広く社会に展開してきました。そして、別の新しい問題が立ちはだかったとしても、仲間と一緒に知恵を出し合えば、必ず解決できるという自信に満ち溢れて過ごしています。
2015年 環境情報学部 小論文設問より
今年の設問はわざわざ「出会った仲間と連携しながら」「仲間と一緒」が二回も出てきていますので、「講演文(あるいは「告知文」と両方)」に「仲間」のことを書くことは求められている、少なくとも、加点要素になるとは考えています。

2008年環境情報学部の小論文(四コマ漫画が出てきて、権力ルール・満足ルール等の算式が出てくる年。)でも、「仲間」とどう関係していくのか、ということは問われているので、目新しい話題ではありませんが。その「自由記述バージョン」といったところでしょうか。今年は設問の要件が多いので、仮にこれを書いていないことに対する減点があったところで少しでしょうけれどもね。

「あなた」が行うのは「講演」であるということ

あなたは、SFC在学中から約30年のあいだに、出会った仲間と連携しながら、独自の視点で問題を発見・提起し、最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインを学んで斬新な解決策を着想・実装し、その成果を広く社会に展開してきました。そして、別の新しい問題が立ちはだかったとしても、仲間と一緒に知恵を出し合えば、必ず解決できるという自信に満ち溢れて過ごしています。

そのようなあなたのもとに、環境情報学部長から公式の依頼が届きました。若い世代から尊敬される発明家・創造者であるあなたに、湘南藤沢キャンパス(SFC)で90分間の記念講演をしてほしいという依頼でした。
2015年 環境情報学部 小論文設問より
某掲示板で「しまった。環境情報学部長になって書いてしまった。」みたいな投稿があって、思わず笑ってしまいました(減点されたとしてもそんなに大きな減点にはならないと思いますよ。内容次第。個人的には、学部長の立場から、個人である自分に公式依頼しただけですから、減点要素はないと思っています。村井先生ならやりかねない。)が、とにかくこの「講演」は「環境情報学部長」から「若い世代から尊敬される発明家・創造者であるあなたに、湘南藤沢キャンパス(SFC)で90分間の記念講演をしてほしい」という内容です。

だから、この小論文では自分は「若い世代」に対してメッセージを送るべきです。もちろん、受験生自体が「若い世代」ですので、ここにはある種矛盾というかトートロジー的な要素があります。「若い世代」である自分が「30年後の未来の姿」を想像して、「若い世代」に伝えるのですから。ひっくり返せば「君はどうやって仲間と協力しながら問題発見・解決する人になりたいの?」という質問になっているんだと思います。
 2014年の環境情報学部は「本の編集」ということで、「本の読者」を想定した思考になっているのに、2015年は「記念講演」なのにも関わらず、「記念講演の聞き手」を想定した思考になっていない人もいて若干不思議。

文字数について

毎年、これもよく聞かれます。

文字数による「切り捨て」があるかどうかは分からない。
但し、過去は6割程度の文字数で合格している人もいる。
よって、切り捨てラインは6割より上ということは恐らくない。

まず少なくとも言えるのは、SFC小論文は他大よりも文字数に関しては寛大であり「9割以上埋めないと採点されない」というようなものではありません。そして、文字数が多い人が合格しているわけではありません。これは確かな事実です。

あとは全て推測になります。切り捨てラインなんて分かりません。それでもあえて目安を計算するとしたらこんな感じです。まず大学側としては「きちんと設問要件に基づいて書いている人を機械的に落としたくない」と仮定します。そして今年の設問3で書くべき内容は以下の8ポイント(もちろん数え方によっても変わりますよ。)

・あなたが生み出した発明や創造
・どのような原理や仕組みに基づいており、
・どのように実装されたものであり、
・どのような人々にどのように活用されており、
・どのような問題を解決したものであり、
・約30年のあいだにどのような方法で社会に展開し、
・その過程でどのような出来事が起こり、
・ぶつかった壁をどのように乗り越えて来たのか

1つのポイントにつき50文字述べたとして、50文字×8ポイント=400文字、となるので、「きちんと設問要件を満たしている人」を残すためには4割以下の人は機械的に切り落とせばよい。ぐらいは、一つの目安としては示せるかと思います。とはいえ、40文字×8ポイントでは320文字になるため、約3割になりますし、あくまで目安です。

過去には6割程度で合格している人もいるため、文字数にあんまり神経質になる必要はないと思います。文字数には関係ないただの余談ですし、嘘か本当かは知りませんが、解答用紙を縦書きに使って合格した人もいたようです。確かに設問の要件は満たしているんですが、本当ならば驚きです。

追記:「8割書いてたら合格」「8割ないと不合格」「8割は最低限」「8割書けた人は7割書けた人よりよい」「8割書けた人は7割書けた人より内容がよい確率が高い」は違うのに、それぞれの意味をきちんと分けないまま話をしてると混乱すると思いますよ。

教える側としては、「最低限8割は埋めてほしい」とは思うけれども、実際に「6割程度で合格している人はいるので、6割でも諦めないでほしい」のも確か。ただし、決して「6割をめざせ!」とも教えることはないでしょう。それはまた違うからね。



あと2日で結果が分かると思いますが、国公立など他の大学の入試を控えている人は、落ち着いてがんばってくださいね。そうじゃない人は...悶々としててください。

環境情報学部2015年 速報

*コメント欄にご投稿いただけば、時間が許す限り、お返事しますので気になることは書いておいてくださいね。

環境情報学部の速報です。

講評

見どころのあるようなないようなそんな問題でした。昨年より「難しいか」と言えば「難しい」し、「簡単か」と言われたら「簡単」です。「講演」が実は「解決策」になっている、という点を除けば、設問通りに解ける問題でしたのであまり対策をしていない人でも解ける、という意味では総合政策学部と同じです。総合政策学部の方が、「総合政策学部は読解力重視!」と思っていた人にとっては、意外感があった分だけ、難しかったとは思いますが。小論文は設問に書かれていることに答える、というスタンスでいれば、総合政策学部も環境情報学部も今年はそんなに難しくなかったと思います。

設問解説

環境情報学部は、最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインを駆使し、柔軟に人文社会科学と融合することによって、地球、自然、生命、人間、社会を理解し、未解決の問題に取り組み、解決策を発明・創造する学部です。まず、「発明や創造」について考えてみましょう。

資料【A】〜【H】は、過去から現在までの、何らかの発明や創造と、その社会展開に関する文章です。有形のモノから無形のコンセプトまで、情報のテクノロジーからの物質のデザインまで、小スケールから大スケールまで、さまざまな種類のものを、時代順はランダムに並べてあります

問1 資料をよく読んだうえで、【A】〜【H】それぞれの文章について、その発明や創造の内容と、それが社会に与えた影響を表現する、わかりやすいタイトルと魅力的なサブタイトルをつけてください。
例によって【A】〜【H】を全部読んでいると破綻する人もいると思います。

わかりやすいタイトル」や「魅力的なサブタイトル」に「発明や創造の内容」と「それが社会に与えた影響」という要素を盛り込む、という条件を見落とした人も多そうです。解答欄の大きさなども関係あるのかな。「タイトル」は「わかりやすく」、「サブタイトル」は「魅力的に」、なおかつ、「タイトル」か「サブタイトル」のどこかに「発明や創造の内容」と「それが社会に与えた影響」が入っていなければなりません。めんどうですね。きちんと全部条件を守って書くのは骨は折れるものの、資料文は大して難しくないので、「タイトル」は「発明や創造の内容」を名詞でひとこと簡潔にしめして、「それが社会に与えた影響」を多少センセーショナルに「サブタイトル」を書けていれば、試験時間内のベストを尽くしたと言えます。

というわけで、(設問2と)設問3のヒントにはなるとは思いますが、すばやく解いていけばいいし、そんなに配点も高くないと思いますので、少々書けなかった人も気にせずに。実際に本番では設問だけ読んで「はいはい」と思いながら、設問2に進んだ方が無難だと思います。
II 湘南藤沢キャンパス(SFC)では、「問題が与えられて、正解を教わる」教育ではなく、「何が問題なのかを考え、解決する方法を創出する」人材の育成を目指しています。そこで次に、「問題発見」について考えてみましょう。
 2015年のいま、国内外でさまざまな問題が議論されています。たとえば世界経済フォーラム(World Economic Forum)は、2014年に次の5つの課題領域をあげて、問題群を分類しています。

(資料略)

ただ、この(a)〜(e)は、あくまで世界経済フォーラムの分類であり、検討すべき課題領域のすべてが網羅されているわけではありません。また、大切なことは、課題領域のなかから、より具体的な問題を適切に発見・提起し、それを掘り下げることで、問題の本質に近づくことです。

設問2 あなた自身が重要だと考えている、「課題領域」とその課題領域における「未解決の具体的な問題」をひとつ記述してください。「課題領域」を(a)〜(e)から選ぶ必要はありません。
ここもしょうろんブログをしっかり読んでいた人は、若干飽き飽きしたかもしれません。「同じ話しかしていないじゃん」と。(ここまで来ると「ビンゴ」と思う方と「結局それかよ」と思う方と半々でしょう。)テーマは英語で書いてあるものの、別に読まなくてもいいですし、自分が「課題」と思っていることを書けばいいだけです。もちろん、設問3との関係性は、意識しなければいけないですけれどもね。
III 最後に、設問2であなた自身が重要だとした「問題」の未来を考えてみましょう。
いま2045年の未来社会にいることを想像してください。あなたは、SFC在学中から約30年のあいだに、出会った仲間と連携しながら、独自の視点で問題を発見・提起し、最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインを学んで斬新な解決策を着想・実装し、その成果を広く社会に展開してきました。そして、別の新しい問題が立ちはだかったとしても、仲間と一緒に知恵を出し合えば、必ず解決できるという自信に満ち溢れて過ごしています。

そのようなあなたのもとに、環境情報学部長から公式の依頼が届きました。若い世代から尊敬される発明家・創造者であるあなたに、湘南藤沢キャンパス(SFC)で90分間の記念講演をしてほしいという依頼でした。あなたはさっそく講演の準備に取りかかろうとしています。

設問3ー1 まず、講演の告知文を考えます。あなたが取り組んできた問題と、独自に生み出した発明や創造との関係を、わかりやすく、かつ魅力的に告知する文を考え、140字以内で記述してください。

設問3ー2 次に、当日配布する講演資料を執筆します。あなたが生み出した発明や創造がどのような原理や仕組みに基づいており、どのように実装されたものであり、どのような人々にどのように活用されており、どのような問題を解決したものであり、約30年のあいだにどのような方法で社会に展開し、その過程でどのような出来事が起こり、ぶつかった壁をどのように乗り越えて来たのか等を、具体的にふりかえりながら整理し、1000字以内で記述してください。
  執筆にあたっては、設問1で読んだ資料【A】〜【H】から学べる要素を適宜取り入れつつ、あなた自身のストーリーとしてまとめてください。
 なお100字相当分以内であれば、説明の補助のために絵や図を加えることもできます。解答欄に、たとえば10×10や12×8のように領域を区切って、そのなかに記入してください。絵や図を使用するかしないかは、あなたが決められます。
解答欄の分量や、文字数からもこの部分で差をつけるしかないですよね。

設問3ー1は、
あなたが取り組んできた問題と、独自に生み出した発明や創造との関係を、わかりやすく、かつ魅力的に告知する文
であり、いわゆる「タイトル」や「キャッチコピー」に近い部分です。140文字指定に思わず「ツイッターかよ」と突っ込んだ方もいらっしゃるのでは?

設問3ー2も

・あなたが生み出した発明や創造
・どのような原理や仕組みに基づいており、
・どのように実装されたものであり、
・どのような人々にどのように活用されており、
・どのような問題を解決したものであり、
・約30年のあいだにどのような方法で社会に展開し、
・その過程でどのような出来事が起こり、
・ぶつかった壁をどのように乗り越えて来たのか

を1000字以内に埋め込めばよく、自分が解決したい問題さえひとつ決まっていれば、そんなに困るようなものでもありません。「発明や創造」を「システム」にしても何の問題もないですよ。絵を描くか書かないかも、「絵を描くことでわかりやすくなる」なら書けばいいし、「絵を描くことで混乱する」なら書かなくていいですしね。本質はそこではないです。設問指示通りに書けば、ここまではそんなに対策をしていない人でも埋まるはずです。「解決したい問題」さえ決まっていればね。「設問1で読んだ資料【A】〜【H】から学べる要素を適宜取り入れつつ、」は「設問1をヒントにしてね」レベルなので特に資料からの引用は要約は不要だと思います。もちろん入れたとしても減点にはならないでしょう。あとは、論理的に読み取りたい部分は
SFC在学中から約30年のあいだに、出会った仲間と連携しながら、独自の視点で問題を発見・提起し、
そして、別の新しい問題が立ちはだかったとしても、仲間と一緒に知恵を出し合えば、必ず解決できるという自信に満ち溢れて過ごしています。
という部分から「ぶつかった壁を乗り越える」を述べる際には、仲間の話をしたほうが論理的には点数はつくと思います。(但し、それより重要なのは次の部分。)

ここまでが第一の問題発見・解決であり、明示的に読み取りやすいところです。次に説明するのが第二の問題発見・解決です。
あなたは、SFC在学中から約30年のあいだに、出会った仲間と連携しながら、独自の視点で問題を発見・提起し、最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインを学んで斬新な解決策を着想・実装し、その成果を広く社会に展開してきました。そして、別の新しい問題が立ちはだかったとしても、仲間と一緒に知恵を出し合えば、必ず解決できるという自信に満ち溢れて過ごしています。

そのようなあなたのもとに、環境情報学部長から公式の依頼が届きました。若い世代から尊敬される発明家・創造者であるあなたに、湘南藤沢キャンパス(SFC)で90分間の記念講演をしてほしいという依頼でした。あなたはさっそく講演の準備に取りかかろうとしています。
この部分は第二の問題発見・解決になっています。

解決策は「講演」です。そしてこの講演は恐らくは「環境情報学部長」から依頼された「あなた」が、「若い世代」に対して行う「講演」です。これの問題発見自体は既に設問上で述べられていますよね。「そのようなあなた」つまり、「別の新しい問題が立ちはだかったとしても、仲間と一緒に知恵を出し合えば必ず解決できる(という自信にあふれた)あなた」を「講演」の形で、「若い世代」に伝える、という講演内容になっています。

だから、「第一の問題発見・解決」の内容は実はそのアイデアや工夫を重点的に問われている、というよりは「別の新しい問題がたちはだかったとしても、仲間と一緒に知恵を出し合えば必ず解決できる」ということを示す内容の方がポイントが高いでしょう。

設問3ー2を「講演会」形式で書く、というのではなく、「講演会」の目的を意識した上で書く、ということです。これが第二の問題発見・解決です。つまり「講演会」の目的に沿っているか、という点からも採点される、出題だ、ということです。

2014年の環境情報学部の本の編集においては「読者」を意識したですから、2015年の環境情報学部の「講演会」においては「聴衆」を意識すべきであるというのは当然ですよね。

この2点から問題発見・解決の適性を示す答案は点数が高くなると思います。

とはいえ、

ここまで分析して、戦略的に「講演会の目的」と考えなくても、結局書かれた小論文を並べてお話にならないものを除いて、あとは「この人と一緒に研究したい」「大学生活を送りたい」というように、採点者が思うような答案であれば、その答案の点数がよくなるんだと思います。

去年の小論文時にも述べましたが、こういう出題のしかたはキャリアの場面でよく行われるものであり、「コンピテンシー面接」に非常に似たやりかたであり「過去の行動特性を確認し、その人が活躍できる能力を持っているか」を確認するやりかたです。この小論文で、「こういう方法で乗り越えたんだ」と書くということは、「この人はこういう乗り換え方がいい」と思っていることを確認する手段なのです。「お金で乗り越えた人」は「お金」で解決する人、「仲間と乗り越えた人」は「仲間」と乗り越える人、とわかりますよね。だから、受験生がまともに文章を書く力さえあると仮定して、「一緒に研究したい仲間」を探すための小論文なんだと思います。だから、自然体で書けば、SFCが自分たちと一緒にうまくやっていけそうな人を選んでくれる。その意味ではけっこうよい出題なんだと思います。

それでは、いろいろと気持ちが錯綜しているとは思いますが、まずはゆっくりやすんでくださいね。