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2011年04月

2010年 資料文1を読み込む3

いよいよ、総合政策的アプローチの本筋です。

先生:まず、特定の学問や科学からスタートするのではなく、問題そのものから考え始めよう。問題を解決するには、まず何が問題なのかをきちんと把握する必要がある。今まで、「問題解決」という言葉を使ったけれども、一般的には、問題を解決するには、まず問題を「発見する」必要があると言われている。

総合政策的アプローチは「問題」から考えることからはじまります。そして、その第一歩は「問題を発見する」ことです。つまりは、「問題解決」の前に、まず「問題そのもの」から考えようというわけです。先生は「問題発見」より「問題設定」の方がよい、と主張します。

少し、復習をかねて補足をします。SFCは「問題解決」を中心理念におきます。これはブレてはいけない軸です。ただし、SFCでは「問題解決」と言う場合、通常ならばそのなかに入らない「問題発見」も「問題解決」の定義の中に組み入れて使います。だからこそ、読み手に分かりやすく「問題発見」が重要だと主張します。さらには、「問題発見」は誤解しやすい言葉なので、「問題発見」→「問題設計」と考えた方がいい、といいます。

学生:「問題発見」を「問題設定」に言い換えると何が変わるのでしょうか。
先生:いくつか意味があるのだけれども、最初の違いは目的を意識することだと思う。つまり、誰のためにどういう価値観で問題を定義するのか、という議論があることだ。(中略)。だから、問題設定をする時には
広い視野で問題をよく見極める必要があって、その上でどういった立場から見た問題解決が必要かを意識的に提示することが重要だ。

「発見」→「設定」に言いかえるのは「目的を意識する」ため、そして「目的を意識する」とは「誰のためにどんな価値観で問題を定義するのか、という議論(を行う)」ことだ、と述べます。その上で「どういった立場から見た問題解決が必要か」を意識的に提示します。

整理すると、SFCでは「問題解決」の前に、「①誰にとって、②どういう視点から、③悪い状況(=問題)であるのかを、④意識的に提示することが重要」ということです。逆にいえば、先生が小論文を採点しながら、「①誰にとって、②どういう視点から、③悪い状況(=問題)であるのかを、④意識的に提示することが重要」を必ず意識している、ということです。だって、SFCの中心理念ですから。同じ過労死について論じている答案でも「働き過ぎで多くの人が健康を害しており、過労死までもが起きている」「社員にとって、重要なのは『健康』だが、実際のところは過労死になるまで働く人が多いことが問題である」であれば、後者の方が断然にSFCの視点に近い。この「問題設定プロセス」が重要であるとしています。

学生:分かりました。問題設定と問題発見の違いはそれだけですか。
先生:誰のために解決すべき問題かを明示しただけでは足りない。問題解決に近づくためには、次に問題の原因を追及していくことが必要となる。ある問題が生じるのはどうしてなのかを考えると、原因は一つではないかもしれない。それぞれの原因を考え、さらにその原因はどうして生じるのかを考えなければならない。こうして、問題の原因、原因の原因、その原因の原因という形でどんどん追及することを「問題の構造化」と呼んでおこうか。単に多面的に見るだけでは足りないのだよ。構造化するうちに、問題自体がより具体的になってくるし、その過程で解決手段もある程度明確になってくる。さらに、どれだけ解決できるのかの見込みも立つのではないか。

これは一旦問題設定をした後に行うべき、「問題の構造化」です。「問題の構造化」とは原因の原因や原因の原因の原因を探り、「共通点」や「ネック」を探していくことです。

学生:わかりました。でも、先生、こうやって目的設定や原因追究をした上で問題を設定すれば、問題が解決するのでしょうか。
先生:いや、まだ道は険しいのだよ。今までは、問題設定の方から見ていたけれども、問題解決に目を転じてみる必要があるだろう。問題を充分に検討したとしても、解決策は一つとは限らないし、複数の解決策を考える場合にもそれぞれの効果と副作用、そして実現性を考えることが必要になる。

次は問題設定完了後の、「問題解決」について述べています。問題解決策の優劣を決めるには、各問題解決策の「効果があるかどうか」「実現するかどうか」「副作用はどの程度か」を確認する必要があります。