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2012年04月

SFC小論文で「知識」がメインにならない理由

SFC小論文は、課題文に細かな専門用語が問われることがあるため、「知識を身につける」ことを勧める人が数多くいます。予備校講師であっても、「課題図書」を作って、「これを読め」という人がいます。とんでもないことだと思っています。例えば、アフォーダンスやオートポイエーシスについて、過去問で出題されたため、授業で詳しく教えたり、課題図書に挙げる先生もいます。実にとんでもないことです。

予備校教師は恐らくは「アフォーダンスはギブソンという生物学者が提示した考え方で…」等と教えるのですが、「SFCの過去問で出てくるアフォーダンスデザインとギブソンの提唱したアフォーダンス概念とは大きく違うこと」を教えません(「教えられない」の方が正確だと思います)。そしてそれを教えないでも、SFC小論文は理解できてしまうし、合格点がとれてしまいます。オートポイエーシスも同様です。過去の出題文中の定義も曖昧で、オートポイエーシス概念なのか、自己組織化概念なのか、よく分からない状態で話が進んでいきます。また、ルーマンについて触れないで、世論の理論を展開していきます。サブシステムという言葉を平気で説明せずに使用していきます。そういう課題文に対して、予備校教師は、にわか勉強で手に入れた河本氏の「第三世代システム理論」の知識等で語るため、なかなか的を射た説明になりません。それなのに、合格する人はたくさんいます。

要はアフォーダンスもオートポイエーシスも知識としては合格するのに必要ないんです。当たり前です。そもそもアフォーダンスも、オートポイエーシスも、それぞれSFCの授業の中で教えています。大学で習うことを受験生が事前に理解する必要はありません。受験生にそれができていることを期待しているのであれば、授業の中ではそれを教えずに、もっと高度な授業を展開すればいいはずです。それをしないのはなぜか。別に入学者がそれを知識として持ってる必要はないからです。

本を読むことや知識を身につけることでSFC小論文の合格率が上がる、それは否定しません。けれども、知識の幅を広めることがSFC合格の秘訣である、とか、知識を身につけることで合格できる、というのはまやかしだと思います。あえて言うと、「効率は悪いけれども、合格率をそこそこ上げることができて、どの受験生でも対応しやすい対策」は「知識を身につけること」です。それならば否定しません。

でも、「SFC小論文の本質は何か?」と言われたら、それは「問題解決型思考」です。「単なる知識」ではありません。「問題」を設定して、その「解決策」を導き出す一連のプロセスを習得することです。それさえ、わかっていれば、例えば小論文でAHPが出てもたじろがないわけです。(AHPについて、Googleで検索してみてください。SFCっぽいですよ…。知識として必要ないと思いますが、課題文には使いやすいでしょう。)

「知識」を身につけろ、というアドバイスにはぜひご注意を…。

100字の力、200字の力

あなたがこれまでに、印象的な関わりを持った生活用品を一つ挙げ、それがどのようなものであったか、あなたがそれを通じてどのような体験をしたか、なぜそのような体験が得られたのか、を500字以内で説明してください。
『2012年環境情報学部入試問題 問1より抜粋』
SFCの問題はすごく親切に作られています。なぜならば、文章の構成を練らなくともよいからです。

 1.印象的な関わりを持った生活用品
 2.それがどのようなものであったか
 3.あなたがそれを通じてどのような体験をしたか
 4.なぜそのような体験が得られたのか

文章にはこの4つを記入すれば、この問いに関しては完璧に答えたことになります。そして、このような問題は論理的に書けていれば点数が入ります。さすがに「麻薬」なんて書くとどう評価されるか分かりませんが、少なくとも「電子レンジ」のことを書いた学生は高得点で、「生理用品」のことを書いた学生は低得点と採点されることはありません。

この問題は「問2」が重要な問題なので、問1はさらさらと書いてしまいたいところです。「1.印象的な関わりを持った生活用品」は多くとも10文字で書けます。ということは、「それがどのようなものであったか」「あなたがそれを通じてどのような体験をしたか」「なぜそのような体験が得られたのか」の3つを残りの490文字で書けばよいことになります。1問あたり、150文字です。

「100字の文章を練習する」「200字の文章を練習する」真価はここにあります。SFCの問題は、多くの場合、どのように章立てすればよいかが書かれています。その章立に合わせて文字数を考えると、一つの章は通常だいたい100字から多くとも300字に収まります。ということは、実質SFCの小論文は「100字」「200字」の積み重ねで得点がとれるのです。

SFCの小論文は解当欄も多く大変です。それは事実ですし、否定もしません。けれども、SFCの小論文は、章立てがきちんと行われており、実際は100文字~200文字の文章をうまく積み重ねることで得点をとることができます。100字から200字の文章であれば、毎日練習するのも割と楽です。

100字の力、200字の力を信じてまず100字~200字の文章をたくさん書いてみましょう。


でも、ここを理解できなければ「現代文」を「小論文」には使えません。

小論文で高得点をとるためには、現代文を通して「論理」を学ぶのが近道という話をしました。

では、現代文さえ勉強していれば小論文は必ず高得点がとれるのか、というと決してそんなことはありません。なぜなら、「小論文」と「現代文」は異なる科目だからです。どこがどう異なるのかということを今回は説明します。

「小論文」で使う論理パターンは単調でいいので、自分の武器を作ることができる。「現代文」は多くの論理パターンを学ぶ必要がある。

現代文は、論理の読みとり科目であり、小論文は、論理を用いて主張を伝える科目です。この違いは、論理のパターンは現代文の方が多岐にわたる、ということを意味しています。小論文では「しかし」の逆接を有効に使えれば、「だが」「逆に」「ところが」etc等別の種類の逆接を使いこなす必要はありません。小論文ならば、「しかし」一本勝負で充分対応可能です。論理は、大枠のパターンさえ押さえてしまえば、あとは言い回しだけがポイントになります。「現代文」では、多くのパターンを抑える必要があります。文脈を用いて、接続詞を自分で定めることとはまるで作業が逆なのです。

「現代文」は主張を読みとればいいだけだが、「SFC小論文」は主張を自分で作る必要がある。

受験小論文においては、特にSFCに当てはまるのですが、小論文で論じる結論として「自分の」主張を自分で作る必要があります。どれだけ論理的に正しくても、主張がよくなければ合格はおぼつきません。これはつまりSFC小論文に合格するためには、論理以外の対策が必要だ、ということも示しています。少し、矛盾しますが、論理的に文章を書くことができる受験生自体が少ないので、「論理」を身につければ半分ぐらいのライバルは蹴落とせます。だから、論理の学習は非常に重要です。ただし、「論理」以外の部分もよくなければ受かる確率が低いのも確かです。

「主張」自体は、SFC対策としてSFC向けの主張方法を学ぶ必要があるのです。

「小論文」の資料読みとりは「取捨選択」が重要、「現代文」は基本全部読みが重要。

「小論文」でも資料読みとりがありますが、これは現代文と異なり、必要ないと思えば読まなくてもいいものです。特にSFCのように、資料が5個も6個も出てくると、資料の取捨選択が重要となります。現代文は出された文章を全部読めばいいだけです。濃淡はあるにしても、基本全部読めばいい。この違いは、できる人にとってはものすごく有利になります。もともと文章を書くのは時間がかかるもの。読まなくていい文章を増やすことができればそれだけ、よい小論文を書くこともできます。

以上、小論文と現代文の違いでした。

浪人の場合

浪人の場合で「絶対SFC」という人はこのブログと心中する覚悟で小論文の勉強をしてください。
「絶対SFC」という方に、SFCに勝る大学はないです。
いまのところ、それを提供できる大学は日本でSFC以外にはありません。

「第一志望だけれども二浪はちょっと」という人等は
 ・毎日1~2時間は小論文対策をする
 ・幅広い社会問題の知識を身につける
ことが重要です。

毎日1~2時間は小論文対策をする

浪人生のメリットは、「時間がある」ということです。1年間真面目に勉強すれば、一日7時間程度の勉強で英語か数学は合格点に到達できます。だから、毎日残りの1~2時間を小論文対策に使いましょう。
 ・200文字20分で書く
 ・論理的書き方を身につける
は、通常数週間から数カ月で身に付きます。
 ・SFC的考え方を身につける
も1カ月はかかりません。
残りの対策の時間をたっぷりとって、「知識」を身につけて、
少しでも合格のために、ブレを少なくしましょう。

幅広い社会問題の知識を身につける

通常、SFC小論文の勉強をする時に、「知識」は二の次にしてもらってます。
なぜか?対策として非効率だからです。
ただし、時間がたっぷりある場合は別です。
「知識」があることで、合格率は上がります。
SFCの場合、合格できるかどうかは問題との相性によるところが大きいですが、
「知識」があれば、相性のよい問題も増えます。

そういうときに、何の勉強をすればいいか。
SFCは問題解決の学部ですから「問題」の勉強をするのが一番です。
ニュースや新聞をよく読んでください。
そして、その社会問題に対して、SFC的思考を持って考えてみてください。

現役・SFC第二志望の場合

現役生で、SFCが第二志望の場合、重要なことは3点あります。
 ・本当にSFCでいいのか再考する。
 ・現代文を受験科目に含める。
 ・小論文対策に時間を割き過ぎない。

本当にSFCでいいのか再考する。
これ、超重要です。SFCが第二志望になる理由は
 「慶應だけど科目数が少なくて合格しやすそうだから。」
 「幅広い勉強ができそうだから。」
の、どちらかが主流になっているようです。
「慶應だけど科目数が少なくて合格しやすそうだから」は、真実を含んでいると思います。科目数が増えれば増えるほど、まぐれ合格しづらくなります。各科目まんべんなく勉強ができていないと受からないからです。ところが、SFCの場合、英語か数学に秀でていれば、あとは小論文だけ何とかすればいいわけです。早慶上智の上位学部を目指して勉強している人が、ランクダウンするのにもってこいです。あるいは、MARCHクラスから「慶應」にランクアップするのにももってこいです。こういう場合、たいていSFCに行くのはオススメしません。SFCは慶應どころか日本の中でも特殊な位置を占める理念を持つ学部です。もし、仮にSFCしか受からなくて、SFCに行ってもつまらないかもしれませんよ。山の中ですし、遊びに行く場所が少ない。参加型の授業が多くさぼりづらいですし。都内のキャンパスで4年過ごせる大学の方がよっぽどいいかもしれません。SFCは「きちんと勉強する」という覚悟がなければ活用しづらいキャンパスです。その覚悟があるなら活かせると思います。覚悟がないなら、MARCHで4年間過ごした方がスキルも身に付きます。

「幅広い勉強ができそうだから」と思ってる人も気をつけてください。ICU・AIU・法政GIS・早稲田SILS・東大理Ⅰ・京大総合人間学部etcの方がいいですよ。SFCはあくまでも「問題解決」のツールとして、多様な個別科学に手を出してるだけです。大学が提供するものは貧弱です。例えば、ネットでシラバスを見れば分かりますが、真面目に理系の勉強をするのに耐えられない数学の科目構成になっています。「自分でしっかり勉強する」という人が自学するお手伝いにはなりますが、大学は深いところまで何も教えてくれません。大学が提供する授業の質は、基礎科学としてはそれほど高くないのです。但し、「しっかりやる」と思っている人にはこれほど恵まれた環境はありません。使いたければ、三田・日吉の授業ネットワークも使えますしね。先端の研究環境と社会との豊富なリンクもある。こんないい環境はありません。逆に、SFCは「使いこなす」と思えない人にはある意味毒みたいな環境です。それを考えて、第二志望に選んだほうがよいと思います。

現代文を受験科目に含める

こちらは単に効率の問題です。SFC第一志望であれば話は簡単。英語の勉強をして、国語の勉強をして、小論文の勉強をして、第二志望はそれらの科目で受けられるところにすればいいです。(SFC第一志望でも三科目勉強を勧めますが)。一方で、SFCが第二志望の場合、たいていの人は私立三科目か国立五科目のどちらかです。これにプラスして小論文をやる場合、現代文が受験科目に入っていた方が両方に共通できるところを同時に勉強できていいです。いいかえると、「私立理系の数理英3科目の人は気をつけてね」ということなんですが。

小論文対策に時間を割き過ぎない

SFC小論文は対策をどれだけやっても完了した気になれません。だから、自分で区切りをつけないとどうしようもないんです。浪人生や現役第一志望であれば、かなりの時間を小論文に使ってもまだいいですが、第二志望の場合は、どこかであきらめなければいけない。時間を割き過ぎない覚悟が必要となるわけです。
 ・論理的に書く練習をすること
 ・20分で200文字書けること
 ・総合政策的アプローチを理解すること
 ・SFCの過去問を5年分やってみること
さえやっておけばいいです。知識を増やす行為は一切必要ありません。ご飯のときにニュースを見てるとちょっとだけ有利になれますが、それぐらいです。

それ以外は第一志望の大学の為に時間を使いましょう。

タイプ別:高1~高2の場合

高1・高2の皆様、高校生活を楽しんでいますか?高1・高2からSFCを意識して当ブログにたどり着く方もいらっしゃるみたいですごくうれしいです。高1〜高2のみなさまが「SFC」に興味を持った場合、「何を意識すべきか」を書きたいと思います。

SFCを受験するかどうか「再度確認」する

カリキュラムやウェブで公開されているシラバスを見る限り、SFCの授業は魅力的です。実際にも魅力的です。ただし、注意すべきことがあります。挑発的にいえば、「SFCは増幅装置」です。すぐれた教育機関ではありません。

タイプ別:現役生・SFC本命の場合

現役生で「SFC本命」と決めている方にとって重要なのは「時間」です。

以下は、SFC受験生の多くを占めるであろう
 ・年に東大合格者は現役・浪人を含めてゼロ又は2~3人が合格
 ・高3時点の偏差値は50前半
ぐらいの高校にあなたが通っていると想定して書きます。

○英語又は数学の偏差値が55以下の場合

残念ながら、小論文をしっかりやってる暇は今はありません。まずは、英語・数学のどちらかを徹底的にやるべきです。小論文はそのあとでも間に合います。英語・数学の勉強法はまずは1冊の参考書をひたすら集中してやりまくることが必要になるぐらいのレベルです。

小論文に手をつけないと不安だ、という人は
 1.原稿用紙を買う。
 2.一日5分~10分程度日記を書く。テーマは自由。
  思いつかなければ、国語の教科書を200文字分写す。
を、毎日やってください。

○英語又は数学の偏差値が55以上の場合

英語又は数学は、かろうじて土俵に立てている状態です。小論文に1日1時間程度はかけてよいレベルです。

 1.毎日200文字~400文字の文章を書きましょう。
 2.200文字を10分程度で書けるようになったならば、「論理的な文章」を書く練習をしましょう。
 3.「論理的な文章」が書けるようになれば、SFC向けの勉強を開始しましょう。
 4.あるいは、現代文の勉強をしっかりしましょう。
 5.新聞、エッセイ、論文などの「文章」や図表をたくさん読みましょう。

このレベルの方は、土俵に立てているとは言っても、小論文に力を入れている時間はあまりありません。しかしながら、「論理の基礎」を身につけるのには時間がかかりますので、この時期から開始しましょう。また、文章や図表を読みなれていない方も多いので、まずは読む練習をする必要があります。この時期は、毎日の貴重な1時間を、「文章を書き慣れる」「論理を習得する」「読むことに慣れる」に使いましょう。

なお、SFC特有の小論文対策は3か月もあれば充分おつりがきます。あせらずにいきましょう。

○英語又は数学の偏差値が60以上の場合

まず、英語又は数学の過去問に手を出してみましょう。必ず玉砕されるはずです。玉砕されてかまわないのでSFCのレベルを確かめてみてください。同様に小論文についても過去問を解いてみてください。必ず玉砕されます。かまいません。これぐらいになって、はじめて土俵にしっかり立てている状態です。小論文にしっかり手を出していい状態です。

 1.過去問で600文字~800文字程度の文章を書く練習をする。
 2.SFC思考を学ぶために、過去問の課題文を読解する。

英語・数学等を手

○英語又は数学の偏差値が65以上の場合

もし、英語又は数学の過去問を解いていないのであれば、まず過去問5年間分を解いてしまいましょう。時間内に7~8割とれるようになるまで繰り返しましょう。このレベルになれば、マーチクラスや早慶上智クラスの過去問を実戦形式で取り組んでも、ちゃんと身に着くレベルだと思います。毎日2時間程度の小論文の時間をとりましょう。

 1.SFC思考を使って、ニュース等をまとめてみましょう。
 2.まとめた内容を文章に書きましょう。
 3.SFC対策をしましょう。
 4.知識を身につけましょう。

○総括

現役時の勉強法はひとえに、「英語・数学とどう付き合うか」につきます。なぜならば、現役生は時間がないから。一部の超進学校に通っているならまだしも、通常の受験生は高校2年生までの授業のレベルと大学受験レベルの勉強の差を埋める必要があります。それが優先事項になります。こういうブログの管理人が言っていいことかどうかは別にして、「小論文」は「まぐれ合格」しやすい科目です。一方で、英語・数学はシビアです。通常、試験前までに、合格最低レベルに達していなければ、本番でもいい点数はとれません。小論文は、ラッキーがありえますので、本人の実力以上の答案が書ける可能性もあります。

だから、まず数学・英語を優先してください。目安として偏差値60を超えれば、小論文をみっちりやってみてください。その時にはこのブログをぜひご参考に。

考えるってこういうことだったのか「子どものための哲学対話」

ターゲット:総合政策・環境情報を問わない。受験希望者全員に読んでほしい。

総合政策的アプローチで最も重要となるのは「問題発見」あるいは「問題設定」です。
「問題設定」とは、言いかえると、
 1.何がよいことで、何が悪いことかを定める
 2.いま起こっていることが、1.で定めた基準に照らして悪いことだと明示する

という2ステップからなる思考作業です。

例をあげてみましょう。
「戦争は悪い。」
この甘美な言葉に弱い人は多いです。
けれども、この言葉の持つ幻想に隠されたことがたくさんあります。
戦争があったことで進展した科学技術もたくさんあります。
(インターネットも元は軍事システムですよね。)
では、戦争は本当に悪いことなのか。

こういう「常識をもう一度とらえなおす頭の働き」を経験しなければ、
「問題設定」の作業は、うまくいきません。

哲学のおもしろい本はたくさんあり、政治・経済や倫理等の受験に必要な科目に
関連した本を読むのもいいのですが、
「子どものための哲学対話」という本を紹介します。
子どものためと言いながら、こんな本は子どもが読んで果たして理解できるの?
と、聞きたくなる本です。

ぼくはなぜ、生まれてきたのか?
どうして勉強をしなくちゃいけないのか?
こまっている人を助けてはいけない?
うそをついてもいい?
元気が出ないとき、どうしたらいいか?
友だちなんていらない?
泣くから泣き虫なのか、泣き虫だから泣くのか?
地球はほんとうに丸い?
死んだらどうなる?

といった質問が並んでいます。直接的に、SFCの入試に絡んだりする質問もあります。
「右翼と左翼とどっちが正しいの?」

「どっちも同じようなもの。対立っていうのはほとんど前提を共有しているものの間でしかおこらないんだよ」
(右翼と左翼の対立も)「政治ってものが、心をわきたたせるようななにかだと感じるなかまたちの間でだけ、意味を持つような対立だからね」
2009年総合政策学部の小論文において、「SFCは○○氏が教授にいるので、○○党の立場寄りに書いた方が得点が高い」という無責任な解説を見ます。さすがにまともな受験生は信じないとは思いたいですが…。

2009年の問題は、「政治」という問題解決策について、各政党が重要としている価値観(=「1.何がよいことで、何が悪いことかを定める」)を定めて、その価値観から「政策」が導かれているか(「2.いま起こっていることが、1.で定めた基準に照らして悪いことだと明示する」に近い)を議論できれば、右でも左でもどちらでもよいわけです。

自分の読みとった内容に合わせて思い切って、どちらかの政党の価値観に立って、思い切って議論ができたかどうか、がこの問題の高得点のコツだと思います。

そんなときに「どっちも同じようなもの。対立っていうのはほとんど前提を共有しているものの間でしかおこらないんだよ」という立場に立てればずいぶん違った答案になると思うのですが。

生物から見た世界(ユクスキュル)

ターゲット:環境情報学部を受験する学生は必読、総合政策学部のみ受験の方は読まなくともOK。
       この本を興味深く読んだ人は、環境情報学部に向いていると思いますので、
       環境情報学部を受験するかどうか決めるためにも読んでみてください。

環境情報学部を受験する人に、もし1冊だけ勧めるとしたら、この本を勧めます。
(欲をいうと、ノーマンの「誰のためのデザイン」と両方読んでほしいですが…)

環境情報学部は、大変に損をしている学部名称だと思います。
 「環境問題をやっているの?」
 「情報学部だからコンピューターの勉強をやっているの?」
という至極当然な先入観が付きまとうからです。

周囲の人間がそれを勘違いしているだけならばまだいいですが、受験生自身も「環境」や「情報」の言葉に惑わされて興味を持ったりもしてしまいます。その後、きちんとこの学部について調べればいいのですが、情報が少ない受験生にとってはなかなか難しいようです。せいぜいオープンキャンパスにいって「問題解決」の理念を聞いて、「いいなぁ」とあこがれたまま、学部名は誤解したまま、試験勉強をはじめている人が多い。さらに、2012年5月現在環境情報学部の学部長である村井純氏は、日本のインターネットの草分け的存在でもあり、「インターネットといえばSFC」という一世代前のパソコンに詳しい人の常識は事実ではあるものの、SFCに対する誤解に拍車をかけているようです。

前置きが長くなりました。

SFCの「環境」と「情報」は分けようとしても分けられない対になっている概念です。ひとことでいうと、「環境」は主体が「情報」を認識することによってのみ存在しうる、という考えを中心においています。要は、ゴミ・原発・温室効果ガス等の人間を中心として考えた場合のその周りの「環境」ということについてのみ研究するような学部ではありません。「衛生工学」と言われる分野とは全く性質が違います。深く眠って意識がないとき、意識的に「まわり」を感じることはできません。このときは「環境」なんかないわけです。まわりの刺激を認識すると、はじめてそれを自分の「外側」としての環境を感じるわけです。「環境」と「情報」は不可分となっています。

ユクスキュルは、生物を主体として考え、その生物の認識が作る環境を「環世界」と呼びました。この「環世界」こそがSFCでいうところの「情報」と「環境」を理解するキーになります。

一匹のノミがいます。このノミの目は「明るい」ということだけ感知できます。このノミの世界を見てみましょう。いま、食事にありつけていない状態で、少し不快に感じています。このノミは今より「明るい場所」を目指します。「明るい」という感覚は、「目」という器官で感じていて、その「目」が感じた「明るい方向」に進んでいくことが遺伝的にプログラムされていて明るいところに向かいます。すると、よじのぼるものがありました。このノミはその爪を使ってどんどん高いところに登っていきます。なぜなら、そちらが明るいからです。登りきると葉っぱのようなものがあります。ノミはそこでじっとつかまって待ちます。

下からいい匂いがしてきます。汗の匂いです。人間はこの匂いを不快と感じますが、ノミにとってはおいしそうな匂いです。この匂いが来たら爪をはがして葉っぱから落っこちます。うまく下に来た動物につかまれれば、エサにありつけます。もし、地面に落ちたら、もう一度、同じことを繰り返します。

ノミという単純な動物の行動ですら、情報により外界を感知し、行動に結びつける恐ろしく複雑なしくみで出来ています。この情報と環境について考えるのが、SFCの環境情報学なのです。いろんな本が出版されていますし、SFCの研究をたたえる本等はよくありますが、「環境情報学」が対象としたいものを、こんなに分かりやすく書いた本はありません。

(暗黙知・形式知に関する授業が多くありますが、それもこの「生物から見た世界」に大きく関係すると思います。マイケル・ポランニーの暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)もおもしろいですが、いかんせん難しいです。それに比べれば、「生物から見た世界」。この本は非常に分かりやすい上に、直球です。

対策の基礎「知識」

SFCの対策として、二番目に重要になるのが「知識」です。

 ・テレビのニュース or 新聞のニュース
 ・SFCの過去問
 ・政経や現代社会の教科書

この程度を、軽くやっておけば十分です。
SFC小論文の試験問題は広い範囲から出題されます。全てを知識でカバーするのは不可能です。だから、知識詰め込み型では対応できません。それに、慶應もそれを求めていません。出題文自体は大学院の入試に出されてもおかしくない文章もあります。それを既存の知識で理解しよう、というのは不可能。

それよりも、「基本」の知識をマスターして、自分で考える素地を作っておけば十分です。例えば、GNHのような考え方は知らなくてもよいですが、ニュースなどで知っておけば試験の時の焦りが減ります。ただし、「経済」の基本をあまりよく知らないと、よい解答が書けない可能性が高いです。

後者の知識の方が合格には圧倒的に大事で、前者の知識はおまけみたいなものです。経済とは「幸せ度の最大化」と「より多くの人の幸せ最大化」という考え方を持っている方がよほど多くの問題に対処できます。「GNH」のような特殊例をひとつ知っているよりは。

そのうちしっかり書きますが、「より多くの人の幸せ最大化」という視点を持てば、消費税問題をより理解しやすくなります。せいぜい10個ぐらいの基礎ルールを頭に叩き込んで、物事を考える。その方が結果的にはよい点数が出ます。

ただし、あまりにも初見過ぎるとさすがにこんがらがってしまいますので、
週に2時間程度のニュースや新聞。政経の教科書学習。
SFC過去問で出てきた問題ぐらいは見ておいた方が無難です。
無難というのは、これを深くやりすぎなくても合格できるからです。

深く知識をつければ、まぐれ合格の確率はあがります。それは確かです。
だから、知識をつけるのはある意味正しい勉強法です。
ただし、それをやり続けたからといって必ず合格するわけではない。
それを心にとめておいた方が無難です。