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2013年04月

環境情報学部理念(精読)

最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインで未来社会に貢献
21世紀は「環境と情報の世紀」です。環境情報学部では、最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインを駆使することによって、人間、社会、自然、地球、生命を理解し、未解決の問題に取り組み、解決策を創造します。環境情報学部が期待する学生像は、(1)実用化や人間社会との接点まで視野に入れて先端科学技術を学びたい、という理系学生、(2)先端科学技術を駆使して社会に貢献したい、という文系学生、そして(3)文系理系を問わず、大学時代になるべく早く専門的な先端研究に打ち込んでみたい、という学生です。
慶應義塾大学環境情報学部ホームページより抜粋
総合政策学部の理念に引き続き精読していきたいと思います。が…、この環境情報学部の理念は実はめちゃくちゃ難しいです。その辺りを意識しながら薦めていきたいと思います。
最先端の〜貢献 ここがタイトルになっている意味を理解するためには、SFC設立前の学問世界の背景感を知っておいた方がいいと思います。それは、「大学は進んでいる、現場は遅れている」という大学人の価値観です。「現場」よりも進んだことが学問の世界では起こっている、これを大学が誇りにしていた時代があったわけです。「現場じゃこんなことできないでしょ?」という。この価値観を根本から変えてしまおうという気持ちがこの黒字部分にあらわれています。数学科でも、微積分学は整数論より格下という暗黙の了解があります。確率論なんて下の下です。「役に立つこと」よりも「抽象的なこと」が尊ばれていた時代がありました。(「統計学が最強の学問である」という本がいま流行していますが、このあたりの数学科の中での格付けみたいな話を意識すると、このタイトルは「なかなかに」挑戦的です。)そんな大学内の先進性の話はどうでもいいから、「未来社会への貢献」に最先端の科学技術を使おうよ、私たちはそれに重きを置こうよ、というのがSFCの趣旨です。サイエンス、テクノロジー、デザイン これは大変に理解に苦しむ表現です。あまり難しく考えずに、頭の中に浮かんだイメージで理解したほうがいいと思います。もし、補足するならば「高校生が一般的にイメージするサイエンス、テクノロジー、デザイン」としたほうがいいでしょう。まじめにサイエンスとテクノロジーとデザインの定義をしだすと深みにハマって抜け出せません。 21世紀は 「現代では」の言い換えと思いましょう。「21世紀」という言葉は、特に戦後日本を牽引した希望のような言葉です。(例えば、「ドラえもん」が子どもたちの希望だったわけです。)それが、「現代」になっている逆説あたりも考えながら読むと非常におもしろいです。一昔前の「理科」好きな子どもたちがファラデーのロウソクの科学 や寺田寅彦の随筆(今の子ども向けはこういうのでしょうか?科学と科学者のはなし―寺田寅彦エッセイ集 (岩波少年文庫 (510)))とにかく、SFCが設立されたのは20世紀であって、今は21世紀なわけですから、そこにある「根本的」「質的」な差をなんとか感じ取る必要があります。逆に言えば、この設立理念が持っている「21世紀」の意味は設立当初から、おそらくは移り変わっているわけです。「環境と情報の世紀」です。私が一番好きではないところがここです。「環境」も「情報」も大学の学部名としては、非常に手垢のついた言葉です。いわゆる「衛生工学」としての「環境」と、いわゆる「情報技術(IT)」としての「情報」を思い起こさせるのが普通です。もちろん、「環境問題」も「問題」である以上はSFCの学問の対象範囲ですし、「IT技術」も「テクノロジー」である以上、上述のように「環境情報学部」の理念の範囲内です。但し、誤解を恐れずに言えば、SFCのいう「情報」は「伝えるものの全て」であり、「環境」は「伝わったものを認知(理解)すること」です。前者を理解するためには、一旦普通の高校生の頭の中にある「情報概念」を解体する必要があり、後者を理解するためには、常識の範囲の「環境」という言葉を壊していく必要があります。環境情報学部では、最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインを駆使することによって、 総合政策学部の理念と対比させましょう。総合政策学部ではいわゆるどんな道具を使うか、ということを理念上「明確化」しません。強いて言えば、「問題解決に総合的に取り組み、新しい情報ネットワークを駆使しながら、」の部分でしょうが、曖昧な定義です。それに比べれば、環境情報学部では「最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインを駆使する」と道具立てが非常に明確になっています。ここはかなりのポイントです。誤解を恐れずに極例をあげると、「総合政策学部」は「総合的に取り組んでいれば、宗教的な解決方法を「あり」とする」でしょうが、「環境情報学部」は「宗教的な解決方法は原則「なし」」でしょう。宗教が最先端のサイエンス、テクノロジー、デザインに組み込まれている場合は別ですが。人間、社会、自然、地球、生命を理解し、 ここも総合政策学部の理念に記載のない部分です。「問題発見」の一部に入れて考えるべきだと思います。この5個の単語に深い意味は私はないと思っています。「森羅万象」と言い換えてもいいぐらいです。「環境」や「情報」はこの5個の中のどれとどう関係するのかが明確にされていません。認知・心理・宇宙といったキーワードはどこに入れるべきでしょうか。などと考えていくと、「人間、社会、自然、地球、生命」=「森羅万象」として捉えていく読解の方がすっきりとします。未解決の問題に取り組み、解決策を創造します。 ここは総合政策学部とほとんど変わりありません。「問題解決しようね」と言っている部分です。あえて着目するのであれば、「創造」の部分です。「最先端」との親和性が高い言葉です。「解決しましょう」といった場合、すぐに「過去」に解決策を探しにいくことの方が多いですが、それがダメなら「未来」に解決策を探しにいく、というニュアンスが総合政策学部よりも強いのでしょう。

ちょっといったん途中までで。