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「多浪」と「今の大学を卒業すること」のトレードオフ

TwitterのDMでご質問いただいたのですが、分量が長くなりそうなので、ブログにてモヤモヤっとご回答させてください。

「多浪」と「今の大学を卒業すること」のトレードオフ

世間では浪人は2浪まで、それ以降は「就職活動に差し支えがある」ということで3浪に突入することに悩む方は多いです。

他にオプションがない「マジでどこにも合格しなかったので3浪」ならば、ふっきれもするでしょうが、現役や1浪で合格して受かった大学で仮面浪人している方は「今後、どうするか?」に悩まれると思います。

もし「3浪になることで就職活動が不利になる」という考えで、就職活動の心配をされるようなのであれば、私は「今の大学をそのまま卒業する」ことをオススメします。たぶん経済的な問題や体調的な問題、もちろん学力的な問題、いろいろあって合格できなかったことだとは思いますし、諦めがつかないのも分かります。けれども、「就職活動が不利になる」ということで「現在」逡巡されるならば、新しい大学に入っても、たぶんそんなには活躍できないとは思います。いわゆる学歴としての「大学名」が自分の思うようになってはいないかもしれません。けれども、それぐらいで諦めるならば、私は諦めることをオススメします。すごく時間軸を長くとって考えればたぶんその方が幸せなんだと思います。

つい最近のSFCの國領先生のツイートを引用します。
挑戦もしないで諦めるのも、限界が見えているのに無理を続けるのも不幸になる。やるだけやって、到達したところで幸せになりましょう。
國領二郎教授Twitterより引用
もちろん「3浪なんて気にしないぜ、イェイ!」という人は、我が道を行くのがいちばん幸せなんだと思いますよ。3浪でも楽しそうな人いますよ(笑)。

オプションとしての「編入」

大学には「編入」制度があります。だから「編入」は、ひとつの手ではあります。

但し、行きたい大学の行きたい学科が「編入」を許可しているとは限りません。例えば、SFCへの学外からの編入はありません。学内からのみです。(時々、慶應通信からの編入を考える人がいますが、「出願時に慶應通信に12か月以上在籍」というルールがあるので、気をつけてくださいね。)

「編入」に関しては、「行きたい大学の行きたい学部学科」に対して編入制度が存在しているかどうかをきちんと確認した上で対策する必要があります。また編入試験に関しては情報が少ないことが多いです。仮に編入したい大学が編入制度を実施しているということが分かっていても、過去問を集めるのも困難です。きちんと合格するためには、編入予備校などに行くなどの工夫が必要かもしれません。大学によって2年次編入や3年次編入などいろいろありますしね。

唯一の例外:ICU

ICUでは、トランスファー制度があり、普通の受験生が受けるのと同じ試験がそのまま編入試験になります。定員は「若干名」であり、普通の受験生とは別に判定していますが。昨年度であれば、59名中9名合格ということで約7倍。とはいえ、対策できずに受験する人もいるので「非現実的な水準」ではないと思います(国立の前期と後期の間ぐらいの倍率)ので、試してみる価値はあるはずです。対策は一般的なICU対策で対応できますしね。

慶應義塾大学 通信課程からの編入について

慶應義塾大学通信課程からの編入についてご説明します。

・制度上、存在しなくはない。
・卒業については、1浪と同じ年度に卒業。
・実績は少ない模様。

上で書いた通り、慶應義塾大学では「外部からの編入」制度はありません。但し、内部からの「編入」はあります。そして、この「内部からの編入」には「慶應義塾大学 通信課程」も含まれています。但し、この「編入」に関しては、実績は極めて少ない模様です。だから、個人的には「オプション」として認識はしているものの、かなり確率は低いと思っています。

慶應義塾大学の第2学年編入学試験概要のページにある通り、
総合政策学部
4月編入
1 総合政策学部を除く慶應義塾大学在籍の通学課程第1学年
  修了者または2015年3月第1学年修了見込みの者で,かつ
  入学後1年以上在籍見込みの者。

2 慶應義塾大学通信教育課程に出願時において12か月以上
  在籍する者で,総合教育科目(英語,ドイツ語,フランス語の
  うち1か国語4単位を含む)合計30単位以上を取得している者。

9月編入
  総合政策学部を除く慶應義塾大学在籍で通学課程に2014年
  9月に入学し,2015年9月第1学年修了見込みの者で,かつ
  入学後1年以上在籍見込みの者。

※ なお,総合政策学部・環境情報学部への出願は,両学部あわせて在学中
  1回限りとする(4月編入,9月編入あわせて1回限り)。
です。引用は総合政策学部のみですが、環境情報学部も同様です。

・4月編入については12か月以上の在籍が出願要件。
・9月編入については通信課程からの編入はなし。

というしくみになっています。このため、現役時点ですぐに慶應通信に入学したとしても、その年の編入試験は受験できずに、受験できるのは2年後になります。通信2年次の1月ですね。つまり最速で編入に成功できたとして、通信1年次→通信2年次→SFC 2年次→SFC3年次→SFC4年次というカリキュラムになりますね。また「※ なお,総合政策学部・環境情報学部への出願は,両学部あわせて在学中1回限りとする(4月編入,9月編入あわせて1回限り)。」という制約があるので、2回以上の出願はできないと思われます。したがって、1度編入に失敗すれば、2回目は学士入学までチャンスはなさそうです。

なお、他学部については多少条件が違いますので、ご自分でお調べください。他学部であれば、うまく行けば、通信1年次→通学2年次→通学3年次→通学4年次も可能かもしれません。語学の単位取得要件や単位上限がネット上では確認できなかったため、そうした条件も気にして調べてみてください。ただ、SFCにせよ他学部にせよ、編入試験は非常に厳しいようなので、普通に浪人した方が合格しやすいとは思います。

慶應義塾大学 学士入学

慶應義塾大学は他大からの学士入学を認めていません。けれども、通信課程からの学士入学を認めています。だから、慶應義塾大学通信課程卒業→慶應義塾大学SFC3年次学士入学という手段は存在します。だったら、「大学院に行く方がいいのでは?」という気もしますが。学士入学試験概要をご参照ください。この場合は、通信1年次→通信2年次→通信3年次→通信4年次→SFC3年次→SFC4年次となりますため、2浪カウントになります。そもそも慶應通信は卒業が厳しいらしいですけれどもね。

就職について

「医者になる」「薬剤師になる」などその学部に通わないと、その職業につけないケースは確かにあります。けれども、数多くの仕事では、そうした制約はありません。弁護士ですら、ロースクールに合格すればなることができます。

IT業界やコンサル業界など、出身学部の分け隔てなく、採用の門戸は開いています。だから、「自分のやりたいことが自分の学部では勉強できない」=「やりたいことができる業界に就職できない」とはならないことは意識しておいてください。恐らく想定以上に、企業は幅広く門戸を開いています。(IT業界とか。研究開発でも、意外と畑違いの分野に行けたり、とかね。)あまり学部学科に縛られずに就職活動をしてみた方がいいですよ。

だから、インターネットだけで情報を集めるのではなく、実際の会社に訪問してみてください。就活イベントは、3年生向けだけではなく、もっと幅広い人に対して開かれていたりもします。インターンシップという手もあります。まずは自分のやりたい仕事につけるかどうか、そういう観点で自分の大学のことを見直してみてください。

学歴ロンダリングとしての大学院受験

こういう言い方はあまりしたくないのですが、「学歴ロンダリング」としての「大学院受験」は一定程度ありだと思っています。

例えばMARCHならばともかく「日東駒専や産近甲龍じゃ行きたい会社になかなか入れない(皆無ではない)」という事実は確かにあります。企業側も「学歴採用」は無意味だと思っている会社も一定数あるようですが、現実問題何かで線を引いて面接をする人の数を減らさないといけないという事情もあります。その一定ラインとして、大学名が使われるのはしかたがない面もあります。

だったら大学院だけでも「東京一」や「早慶」に行く、という手はあります。あまり好きじゃないですけれども、「行きたい会社に行く」という目的があっての学歴ロンダリングは一定程度しかたがないかな、とも思います。日本では大きなビルが造れないから海外で大きなビルを造りたいという夢を持っている人が、今の大学名のせいで地方の建設会社にしかいけずほぼその夢を達成できないのであれば、大手建設会社に入れるような大学の大学院に合格して、大手建設会社に入れるようにする、というのはしかたがないと思います。

但し、大学院入試は各大学によっていろいろなのできちんと対策をする必要がありますけれどもね。

国際機関で働きたい人はさっさと大学院にどうぞ

過去、相談を受けた方の中で、「国際機関で働きたい。だけど、SFCに合格できなかった。総合政策学がやりたかったのに...。」という方がいらっしゃいました。

そういう方には、以下のホームページをご覧になることをお勧めしました。外務省 国際機関人事センターのホームページからの引用です。
Q2. 国際機関に応募するための具体的な条件は何ですか?
A2. 国際機関では、即戦力となる人材、すなわち採用されたその日からそのポストの仕事をこなせるだけの高度な専門性を有した人材が求められます。国際機関では一般的に下記のような能力や経験が求められています。

学位:応募するポストと関連する修士号以上の学歴を有すること(修士号以上を求めるものが一般的ですが、ポストによっては学士号に加え一定の職務経験を積んでいることや複数の学士号を持っていれば修士と同等とみなすものもあります)
と外務省が書いています通り、「国際機関」で働くならば「修士課程」が必要になります。

だから「将来は国際機関で働きたい!!」だけど、MARCHぐらいの大学にしか入学できなかった、なんていう感じに悩んでる人は、大学入試のことは忘れて、夢のために関係する修士号をとりに行きましょう。こんなところで悩んで立ち止まっているのはもったいないです。

きちんと目的意識を持っていれば(そして語学ができれば)、大学院入試は大学入試よりも通りやすいしくみになっています。本当に自分がやりたいことを実現するためにも、大学名みたいな小さなところで立ち止まるのはやめましょう。1年ストップするなら、1年休学して留学した方がよっぽどいいと思います!!

MBAでよくない?

最近「起業」したいなら、SFCじゃなくてさっさと経営学修士をとった方がいいのでは?とも思います。

日本は東大にはMBAはないのですが(正確には、エグゼクティブ向けのものしかない)、一橋や京大にはありますし、早稲田は一等地に信じられないような経営学の大学院を作っていますし、慶應のビジネススクールはKBSという愛称で昔から親しまれています。海外MBAももちろん視野に入りますが、試験で入学できる大学院として日本の大学院も捨てがたいですよね。

「起業」したい人や「学歴コンプ」の方はこういったMBAも視野に入れてみてはいかがでしょうか。大学院と大学は密接に結びついているので、「内部進学」の方が有利なケースもあるので、大学院選びも大変ですが、大学の学部とは関係ない位置づけでMBAを作っていたり、内部からの人気が実はあまりなかったり、で意外に入りやすいところもあります。

本気で大学院を選ぶのも楽しいですよ

海外では大学卒業レベルでは、学位としてそこまで重要とは見なされませんし、もう国際化した現代ならば、「修士」までを一貫して学歴と考えた方がいいと思います。海外でも、大学の名前は聞いたことないところであっても、大学院は超一流というケースもよくありますし、日本で周囲が「学歴ロンダリング」と言おうとも、国際的には当たり前なんだから、本当にやりたいことを目指すためにも、「よい大学院」をしっかり選ぶのもいいと思います。

SFCを狙うような人たちが好きそうな大学院って、
慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科
以外にも
慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科
東京大学大学院情報学環・学際情報学府
JAISTNAIST
とかいろいろありますよ。

それに自分の考えがしっかりしていれば、他にもいろんなところの大学院を選べると思います。大学院入試に関しては、いろいろと分野に富んでいますが、英語+学科+研究計画というところが多いと思います。事前にきちんと情報をとってみてくださいね。
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